パソコン同士のファイル交換で利用するUSBメモリー。デジカメをはじめとするデジタル機器のデータ保存で使われるSDメモリーカード(以下、SDカード)。いずれも身近な記憶メディアですが、実は"それ以上"の使い方があります。

 この特集では、この身近な記憶メディアに注目し、単なるデータのやり取りではない活用法を紹介します。例えば、大容量化が進んでいるUSBメモリーを利用すれば、ほかの人のパソコンを、あたかも自宅のパソコンと同じように使えるようになり快適です。また、SDカードを使える機器は今や薄型テレビやレコーダー、デジタルフォトフレームなど、どんどん広がっています。手持ちの動画や写真を大きな画面で見れば、楽しさも格別です。

 なお、最近は4GB以上の潤沢なメモリーを搭載するパソコンが増えています。これらのメモリーの余った部分を記憶メディアとして活用する方法も併せて紹介します。

由来による使い方の違いをしっかり理解

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 USBメモリーとSDカードで使われている記憶素子は、実はどちらも同じ「フラッシュメモリー」。フラッシュメモリーは素子内に電子を封じ込めることでデータを記憶します。そのため、パソコンのメインメモリーと同じ半導体でありながら、通電していない状態でも記憶が保持されます。これが、パソコン同士やデジカメ写真の受け渡しに使える理由です。

 記憶素子は同じながら、電化製品のために開発されたSDカードと、パソコンの周辺機器として進化してきたUSBメモリーとでは、異なる部分も多いのです。例えば、デジカメやビデオカメラ、携帯電話で使われるSDカードをパソコンでフォーマットすると、デジカメでデータが読み取れないことがあります。これは、SDカード独自の方式を用いているためで、デジカメやビデオカメラでフォーマットしなければなりません。

 「SDカードに撮りっぱなし」するのもいけません。必ずパソコンにバックアップすべきです。というのは、フラッシュメモリーは素子の使用回数に限りがあり、ハードディスクや光ディスクに比べて「データの永久保存に向いていない」と言われているからです。そして最も大きな理由は「紛失しやすい」こと。つまり、パソコンにバックアップさえしておけば、「データがなくなる」ことを心配せずに安心してSDカードを活用できます。もちろん使ううえでは、「ただ差せばいい」というものではなく、コツがあります。機器ごとの使用条件は大画面テレビからiPadまで使い道倍増!写真やビデオをSDカードで楽しむ の記事以降でしっかり解説します。

 一方、パソコンで使う記憶メディア「USBメモリー」。データの受け渡しなど、パソコンのデータを一時的に保存するのが目的。とはいえ、USBメモリーに「ポータブルアプリ」というソフトを入れれば、「緊急時のパソコン代わり」になります(次の記事以降で解説)。これなら、パソコンを持ち運ぶよりずっと簡単。まさに、身近なメディアが使い方一つでデジタル世界を広げる好例なのです。