Wordは画像の一部をボカしたり特殊な効果を加えたりといった作業は苦手です。別途、画像処理ソフトなどで編集した画像を使うのが一般的でしょう。ただ、画像を演出する方法は特殊効果だけではありません。例えば、画像そのものの形を変えることもその一つ。Wordではちょっとしたテクニックを利用することで、画像の変形が可能です。
画像の変形には、Wordの図形描画機能である「オートシェイプ」を利用します。オートシェイプではあらかじめ用意されている円や多角形、矢印や吹き出しなどの基本図形を文書に貼り付けて描画するだけです。ところが、このオートシェイプには面白い特性があって、画像と重ね合わせると図形を切り抜いたような効果が得られるのです。オートシェイプで描画した図形は、ユーザーが指定した色で塗りつぶすことができますが、色の代わりに画像を貼り付けるのがこのテクニックの肝です。
具体的な手順は下の図の通りです。図はWord 2003ですが、Word 2007でも同様です。注意したい点は図4で画像を選択する場面。この際「図の縦横比を固定する」のチェックを外すと、画像サイズがオートシェイプの図形に合わせて自動調整され、図形内の画像が上下に間延びしたり左右に膨らんだりする恐れがあります。
一方で、縦横比を固定すると、画像がオートシェイプに収まらないこともあります。典型的なのは、写真の被写体を図形の中心に収めたいのにずれる、あるいは全く表示されないケースです。この場合は、あきらめるか、別の画像を選びましょう。
ちなみに、オートシェイプで切り抜いた画像に、文字の装飾やクリップアートの図を加えて年賀状の下絵としたのが図5の右です。このように、Wordでも工夫次第で演出の幅を広げることは十分可能です。