高性能なノートパソコンに採用され始めているSSD。どれだけ速いのか気になる人も多いだろう。実は最新のパソコンでなくても、SSDによってパソコンの性能を大幅に強化できる。

 今回、6年前に購入したノートパソコンのハードディスク(HDD)をSSDへ換装したところ、パソコンの起動時間は1分24秒から52秒へと大幅に短縮した(図1)。起動後の動作も軽快で、まるで新しいパソコンに生まれ変わったような快適さだ。

図1 2003年発売の古いノートパソコンで、HDDをSSDに換装。起動時間を計測したところ、32秒も早くなった。特にWindowsのログオン画面が現れるまでの時間が、1分3秒から35秒へと大幅に短縮した
図1 2003年発売の古いノートパソコンで、HDDをSSDに換装。起動時間を計測したところ、32秒も早くなった。特にWindowsのログオン画面が現れるまでの時間が、1分3秒から35秒へと大幅に短縮した
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 SSDは、半導体メモリーを使った記憶装置。パソコンのメインメモリーとは異なり、電源を切っても情報が消えない「フラッシュメモリー」を使っている。データの処理が高速であることに加え、動作音がせず振動にも強い。当初は、はるかにHDDより高価だったため、市販パソコンにはあまり普及しなかった。しかし、昨年ごろから急速に低価格化が進み、今では十分手が届くレベルまで下がってきた(図2)。

図2 SSDは半導体を使った記憶装置。HDDのような駆動部分がないため、衝撃に強く、動作音もしない。容量当たりの価格が高く、大容量のデータを保存するのには向かないが、読み書き速度はHDDより圧倒的に速い。最近は、ノートパソコンに適した120GB程度の製品が売れ筋になっている
図2 SSDは半導体を使った記憶装置。HDDのような駆動部分がないため、衝撃に強く、動作音もしない。容量当たりの価格が高く、大容量のデータを保存するのには向かないが、読み書き速度はHDDより圧倒的に速い。最近は、ノートパソコンに適した120GB程度の製品が売れ筋になっている
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 SSDに交換すると、なぜ快適になるのか。その理由は、SSDの動作の仕組みにある。

 SSDの外観はHDDによく似ているが、中をのぞけば、その違いは一目瞭然だ。HDDの内部は、磁気ディスクや磁気ヘッドなど、精密部品がたくさん詰まっている。一方、SSDは、基板が1枚あるだけ。動く部品は一切入っていない(図3)。

図3 外観はよく似ているHDDとSSDだが、内部の構造はまったく違う。HDDの中は磁気ディスクや磁気ヘッドなど、メカニカルな駆動部分が多い(左)。一方、SSDの中には多数のLSI(大規模集積回路)を搭載した基板だけが入っている(右)
図3 外観はよく似ているHDDとSSDだが、内部の構造はまったく違う。HDDの中は磁気ディスクや磁気ヘッドなど、メカニカルな駆動部分が多い(左)。一方、SSDの中には多数のLSI(大規模集積回路)を搭載した基板だけが入っている(右)
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