自分で使い方を間違えて動かないパーツを「交換しろ!」。ADSLのインターネット接続について「設定方法は?」。パーツのサポート窓口には、売り場以上に過激で不思議なお客さんがやってくる。検証や応対のプロであるはずのサポートスタッフが、思わず頭を抱えるのはどんな事例なのか。PCパーツショップの窓口やメーカー・代理店の電話サポートの担当者に聞いてきた。

イラスト/森永みぐ
イラスト/森永みぐ

これはリコールものだろう!

●HDDが130GBくらいしか使えない、とお客さんが駆け込んできた。これはWindows 2000 SP2以前か初代Windows XPで、大容量HDDを使ったときの典型的な症状。OSの仕様です、と答えても「交換してくれ」。しまいには「こんなのリコールだろう!」と言い出した。

 お客さんの目の前で、正常品のHDDでも容量が正しく認識しないことを実演したが「全く納得してくれなかった」。ずいぶん昔に話題になった、137GB(128GB)以上の容量を正しく認識できないといういわゆる「Big Drive問題」も、サポートの現場ではいまだに問い合わせが多いという。こうした制限を知らずに、パーツの不調と勘違いするのはよくあることだ。しかしパーツが正常と分かっても、「取りあえず」と交換を強要するのはさすがに無理がある。

 

Windowsって入ってないんだ?

●Windowsが使えないんだが、とお客さんから電話。電源を入れても黒い画面のままエラーが出るという。普通に考えたらHDD周りが怪しい。「インストールは無事に終わったんですよね?」と聞いたら「何それ」。なんとインストールが必要なことを理解していなかった。

 「OfficeのCDは持ってるけど、これじゃだめ?」と言われ、「WindowsのCDを買ってください」と返答。単に組み立てるだけで使えると思っていたらしい。このお客さんは納得して電話を切ったそうだが、パーツと無関係な初歩的な問い合わせは、担当者を悩ませる。

 例えばインターネット接続の設定や市販アプリケーションの操作など、明らかにパーツと無関係な質問は御法度。マザーボードメーカーの代理店は「そういう問い合わせには、ソフトメーカーへ聞いてください、と返事する。でないと本当に製品で困っている人の電話がつながらない」。もちろんドライバーのインストールや問題切り分けのための操作方法は説明してくれる。