特殊なアドレス

 IPv4には、ローカル・ホスト・アドレス(127.0.0.1)やブロードキャスト・アドレスなど、特殊なアドレスが定義されていました。IPv6にも多様な特殊アドレスがあります。

未指定アドレス

 128ビットすべてがゼロのアドレスです。表記は“::”です(0:0:0:0:0:0:0:0の省略形)。自身のIPv6アドレスを確定する前の段階で、いくつかのプロトコルで仮に使います。ノードに割り当てることはできません。

ループバック・アドレス

 IPv4のローカル・ホスト・アドレスと同じく自分自身を表し、自分あてにパケットを送るような場合に利用します。IPv6を実装したすべてのノードで利用できます。このアドレスあてのパケットをノードの外へ出すことは禁止されています。

テスト・アドレス

 IPv6ソフトウエアをテストするときに使い、インターネット内では利用できません。構造は、集約可能グローバル・ユニキャスト・アドレスと同じです。ソフトウエアで、グローバル・ユニキャスト・アドレスを扱うテストを行うためなどに利用します。

リンク・ローカル・アドレス

 単一のリンク、つまり1つのイーサネット・ネットワーク内だけで利用できるアドレスです(図7の上)。上位のプレフィックスはあらかじめ固定されているので、割り当て作業も不要です。

図7 リンク・ローカル・アドレスは、単一のリンク内で有効。ノード自身がインタフェースIDなどから簡単に生成できる。一方サイト・ローカル・アドレスは、従来のプライベート・アドレスのように、サイト内ネットワークだけで有効である。
図7 リンク・ローカル・アドレスは、単一のリンク内で有効。ノード自身がインタフェースIDなどから簡単に生成できる。一方サイト・ローカル・アドレスは、従来のプライベート・アドレスのように、サイト内ネットワークだけで有効である。
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サイト・ローカル・アドレス

 サイト内でプライベート・アドレスのように使うユニキャスト・アドレスです。グローバル・ユニキャスト・アドレスと同じく、16ビットのサブネットIDを持ちます(図7の下)。サイト外への転送は禁止されています。