購入して何年も経過し、めっきり遅くなったXPパソコン。「そろそろビスタ搭載のパソコンに乗り換えようか。新品なら、きっとサクサク動くに違いない」。

 もしあなたがそう期待しているなら、答えはNOだ。残念ながらビスタはXPより重い。一ギガのメモリーを搭載した機種でさえ、満足に動かないほど。したがって、XPを使い続けるにせよ、ビスタに乗り換えるにせよ、パソコンの「遅い重い」の問題は、今後もずっとついて回ることになる。

 しかし、嘆くことはない。必要最低限のメモリーを搭載し、余計なソフトや設定を削除してスリム化を図れば、ビスタもXPも見違えるように速くなる。初期設定のまま放置せず、自分好みの“高速化仕様”に切り替える。それが遅さを解消するポイントだ。

ビスタは最初から重い
XPは徐々に遅くなる

 具体的な処方箋を考える前に、まず各OSごとのイライラの原因を見ていこう。

 ビスタは、お節介な機能が多いことが動作を重くする最大の要因。ウインドウを半透明にしたり、三次元表示する「Aero(エアロ)」がその代表例だ。確かに見栄えのする表示法ではあるが、実務的なメリットはさほどない。この機能をオフにするだけでも、かなり速くなる。

 また、XPと比べて充実したセキュリティーも“ありがた迷惑”。ソフトを実行したりドライバーをインストールするたびに、いちいち警告画面が出るのは非常にわずらわしい。そのうえ、セキュリティー機能が占めるメモリー使用量も決して小さくない。これも不要なときはオフにしてしまおう。

 速さと直接関係ないが、操作性がXPから激変したことも、イライラの要因になっている。「スタート」メニューやフォルダ、コントロールパネルの表示がガラリと変わったのだ。これに慣れるまでには、かなり時間が掛かるはず(図1)。だったら、XPの表示方法にも戻すのも手だ。

図1 半透明・三次元表示で見やすさを演出するエアロは遅さの原因の1つ。セキュリティー設定のため、頻繁に出る警告画面もわずらわしい。さらに、スタートメニューやフォルダ表示がXPから激変したこともイライラの一因だ
図1 半透明・三次元表示で見やすさを演出するエアロは遅さの原因の1つ。セキュリティー設定のため、頻繁に出る警告画面もわずらわしい。さらに、スタートメニューやフォルダ表示がXPから激変したこともイライラの一因だ
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 一方、XPの「重い」「遅い」の原因は別のところにある。長年使ったことによって、ウィンドウズに不要な“ゴミ”がたまるのが最大の要因(図2)。使っていないソフトや要らないファイル、肥大化したレジストリを整理すれば確実に速くなる。

図2 XPのイライラの原因は、何といっても動作の重さ。パソコンの起動はもちろん、アプリケーションの起動も遅くなる。不要なファイルや設定を削除するとともに、レジストリを整理し、HDDのデフラグを実行する必要がある
図2 XPのイライラの原因は、何といっても動作の重さ。パソコンの起動はもちろん、アプリケーションの起動も遅くなる。不要なファイルや設定を削除するとともに、レジストリを整理し、HDDのデフラグを実行する必要がある
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 それでもなお、遅さが解消しない場合、XPの「リカバリー」という奥の手もある。事前にデータをバックアップし、リカバリー後にソフトや周辺機器のドライバーを入れ直す手間はかかるが、パソコンを買ったときの状態に戻るため、驚くほど速くなる。

 この特集では、イライラを解消するワザを、ビスタ編とXP編に分け、具体策を紹介していく。ほんのひと手間で操作性が大きく上がる選りすぐりのワザばかりだ。ぜひ実践してほしい。