既存のコンピューターをはるかにしのぐ性能を持つとされる“量子コンピューター”。現在は実現に向けて、理論研究や基礎的な検証実験が各国で行われている。根本氏は、その最先端に立つ研究者の一人である。
幼い頃から、数学や物理が好きだった。理論物理に憧れて物理学の道に進み、量子力学に魅せられる。20世紀の科学が生んだ最も難解な理論の一つともいわれるが、「その“分からなさ”に引かれた」。以来、量子コンピューター研究にまい進してきた。
根本氏は今、その難解な分野の研究を、一般の人々の力を借りて進めようという大胆な試みに挑んでいる。量子コンピューターの重要課題の一つとされる“量子回路の小型化”に、パズルゲームを活用する取り組みだ。
「meQuanics」と名付けられたそのゲームのテーマは、パズルを動かして、パズル全体のサイズを小さくするというもの。ゲームは量子力学に基づいて作られているが、プレーヤーにはそれを意識させない作りになっている。ルールに沿ってパズルを動かす操作が、実はそのまま、量子回路の小型化という難題に取り組んでいることになるという仕掛けだ。