シンガポールに拠点を置き、アジア各国でネット通販事業を手掛けるジオシスグループ。日本では、2010年から「Qoo10」を運営している。同グループの代表を務めるのが、韓国出身の具永培(グ・ヨンベ)氏。韓国の代表的なネット通販サイト「Gmarket」の生みの親だ。2009年、米イーベイにGmarketを売却。ジオシスグループを立ち上げ、日本を皮切りにシンガポールやインドネシア、マレーシア、中国、香港などでネット通販サイトを展開してきた。

 LINEが参入を表明し、ヤフーが手数料や出店料の無料化に踏み切るなど、ネット通販をめぐる動きが活発化している。そんな中で、日本でどのように強みを発揮していくか。具氏に聞いた。

■日本でQoo10を立ち上げた理由は。

 私は韓国でGmarketを成功させました。Gmarketはイーベイに12億ドルで売却したのですが、その後自分が何をしようかと考えたときに、アジアを舞台に100億ドル規模のマーケットプレイスを展開したいと思いました。そこで、ジオシスグループを立ち上げました。

 アジアで軸になるエリアとして考えていたのが、日本、中国、東南アジアです。この中でも、インフラや法律などが整備されている日本をスタート地点に選び、2010年にWebサイトをオープンしました。

■大手サイトにはない、Qoo10の特徴や強みは。

 日本では、楽天やアマゾンが成功しています。どちらも同じように見えますが、楽天は店舗に対してプラットフォームを提供する存在だと理解しています。またアマゾンは、中小規模の出店者にとっては近寄りがたい面があります。

 Qoo10では出店料を無料にしたり、契約期間の縛りをなくしたりするなど、中小企業でも参加しやすい体制を採っています。売り上げに対して一定の手数料をいただく、完全成果型のモデルです。

 またプラットフォームだけでなく、ページの制作から商品管理までを一連のサービスとして提供しています。ユーザーからの評価が低い出店者にアドバイスをしたり、発送が遅い出店者には警告やチェックをしたりするなど、積極的に介入します。これによって、サービスの満足度を上げています。

 我々は楽天やアマゾンよりも後発ですが、起業家精神や創造性の点で優れているという自信があります。ブランドや認知度の面ではまだ後れを取っていますが、インターネットは変化が激しい分野です。これに対してどれだけ速く対応して、問題を解決できるのかが重要だと考えています。

 韓国でGmarketを手掛けていたときも、大手の競合サイトはありました。その中で成功を収めたのは、変化にスピーディに対応できたからだと思います。今でも、月に1度程度のペースで新しいサービスを打ち出しています。

 例えば、毎日特定の時間帯に限定して実施する「タイムセール」。最低落札価格を当てる「ラッキープライス」という仕組みもあります。同額を提示した人がほかにいない入札者の中で、最も低い価格を提示した人が落札できるというものです。またスマートフォン向けには、ファッション系の商品を中心とした「Qstyle」というアプリを用意しています。