ビジネスパーソンを中心に根強い人気を誇る、中国レノボの「ThinkPad」。最新モデルの「ThinkPad X240s」や「同T440s」では、4年に1度と言われる大規模な設計変更を施した。そこには、同社の大和研究所(神奈川県横浜市)で生まれた技術が詰め込まれている。このほど同社の米国法人でシニア・ワールドワイド・コンペティティブ・アナリストを務めるケビン・ベック氏が来日。ThinkPadの設計における、もの作りの裏側を明かした。

レノボ米国法人のシニア・ワールドワイド・コンペティティブ・アナリスト、ケビン・ベック氏
レノボ米国法人のシニア・ワールドワイド・コンペティティブ・アナリスト、ケビン・ベック氏
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 ThinkPadのようなビジネス向けパソコンは、企業が購入費用を負担するケースが多い。「ユーザーは自分で代金を払っていないぶん、扱いが粗雑になりがち」(ベック氏)。さらに、外出先や社内の会議室などに持ち運んで使う場面も多い。そこでThinkPadの製品設計においては、何よりも信頼性や堅牢性を重視する。設計や製造に多少のコストが掛かっても、信頼性や堅牢性向上のために必要と判断されれば認められるという。

 ベック氏が例に挙げたのは、落下の衝撃や振動からハードディスクを守る「アクティブプロテクション・システム」。10年ほど前にこの仕組みが誕生した際には、実装に1台当たり1ドル程度のコストが掛かり、社内で議論を呼んだ。だが「3年間の保証期間内にハードディスクが故障する確率が減ることを考えれば、逆に(1台当たりのコストに換算すると)1.7ドルくらいの節約になるのではという結論になった。実際に搭載してみたら、3ドル近く節約できた。このように、単なる部品の価格だけでなく、3年間の保証期間内にかかるコストを考えて理にかなった方法を選ぶのが我々のやり方だ」(ベック氏)という。