せお・ひろふみ:1985年生まれ。東京大学医学部医学科在学中、デジタルハリウッドにも通学し、CG制作について学ぶ。大学病院での研修を終えたあと、サイアメントの代表取締役に就任。医学の専門家としての確かな知識と経験を生かし、「正しさ」と「楽しさ」とを両立させたイラストやアニメーションの制作を手掛ける。2009年度の東京大学総長賞・総長大賞など、受賞多数。(撮影:稲垣 純也)
せお・ひろふみ:1985年生まれ。東京大学医学部医学科在学中、デジタルハリウッドにも通学し、CG制作について学ぶ。大学病院での研修を終えたあと、サイアメントの代表取締役に就任。医学の専門家としての確かな知識と経験を生かし、「正しさ」と「楽しさ」とを両立させたイラストやアニメーションの制作を手掛ける。2009年度の東京大学総長賞・総長大賞など、受賞多数。(撮影:稲垣 純也)
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 澄み渡った水の中。らせん状のリボンが優雅に舞い、宝石のようにきらめく物体がゆらゆらと漂う─。美しく幻想的なこの3次元CG映像のタイトルは、“細胞の世界”。リボンに見えるのはDNA、宝石の正体はミトコンドリアだ。「正しく、楽しくサイエンスを伝えたい」という瀬尾拡史氏の思いが、ここに凝縮されている。

 中学時代に所属したパソコン部で、3次元のCG制作に出合った。ほどなくNHKのドキュメンタリー番組「驚異の小宇宙・人体」を見て、生命科学分野のCG制作に魅せられた。国内にはその道の専門家は見当たらず、「自分がやろう」と決心。東京大学医学部に進んで知識を身に付ける傍ら、専門学校に通いCG制作の腕を磨いた。今では、サイエンスCGの制作を請け負うサイアメントの代表取締役を務める。

細胞を表現したCG作品。映像化もされており、美しい音楽をバックに、さまざまな細胞がゆらゆらとただよう様子は芸術作品のようだ。医学的な正確さを保ちつつ、分かりやすく見栄え良く表現するために、形状や色、動きを細かく検討して制作している
細胞を表現したCG作品。映像化もされており、美しい音楽をバックに、さまざまな細胞がゆらゆらとただよう様子は芸術作品のようだ。医学的な正確さを保ちつつ、分かりやすく見栄え良く表現するために、形状や色、動きを細かく検討して制作している
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最高検察庁の依頼を受けて制作した、模擬裁判用の資料。法医学者による鑑定書の内容を一般の人でも理解しやすくするため、傷の位置や状況をCGで再現した
最高検察庁の依頼を受けて制作した、模擬裁判用の資料。法医学者による鑑定書の内容を一般の人でも理解しやすくするため、傷の位置や状況をCGで再現した