ふくだ・としや:1982年に博報堂入社。CMプランナーとして国内企業のCMを多数制作したのち、95年よりデジタル部門に移籍。2003年に独立。「渋谷のモヤイ像消失事件」に仕立てたルパン三世関連グッズの広告プロジェクト、健康関連サービスなど多彩な事業を手掛ける。2012年にクリエイターコミュニティを運営するロフトワークと共同でデジタルものづくりカフェ「FabCafe」を設立する(撮影:稲垣 純也)
ふくだ・としや:1982年に博報堂入社。CMプランナーとして国内企業のCMを多数制作したのち、95年よりデジタル部門に移籍。2003年に独立。「渋谷のモヤイ像消失事件」に仕立てたルパン三世関連グッズの広告プロジェクト、健康関連サービスなど多彩な事業を手掛ける。2012年にクリエイターコミュニティを運営するロフトワークと共同でデジタルものづくりカフェ「FabCafe」を設立する(撮影:稲垣 純也)
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 一見するとテレビドラマにでも出てきそうなおしゃれな喫茶店に見える。多くの若者たちが集う東京・渋谷にある「FabCafe」は、ただ休憩するためにコーヒーやお茶を飲む場所ではない。実は時代の先端を行く“個人でものづくり”ムーブメントの発信拠点である。訪れた人々がデータを店員に渡すと、店内の中央にある工作機械「レーザーカッター」がアクリルや木材に切り込みを入れ、製品パーツやアート作品などを次々と形作っていく。

 低価格な3Dプリンターなどの登場で誰もがものづくりを楽しめる「デジタルファブリケーション」時代が到来すると言われている。その変化を一歩先に実感できるFabCafeをプロデュースしたのが福田敏也氏である。

 「80年代に初めてMacintoshに触れたときと同じように、時代が大きく変わっていくと予感しました」と福田氏はFabCafeを立ち上げた当時を振り返る。誰でも簡単にものづくりができるようになれば、生活者と製品の関係が一変する。製品の開発だけでなく、福田氏が手がけてきた製品ブランディングのあり方も変化していくだろう。ならば、自らがその場を作ることで、行く先を探求してみたいと考えた。

店の中央にあるレーザーカッター。Illustrator形式のデータを持ち込むとアクリルや木板などを加工できる。料金は月~水曜日で45分4000円(要予約)、木~日曜日は10分700円
店の中央にあるレーザーカッター。Illustrator形式のデータを持ち込むとアクリルや木板などを加工できる。料金は月~水曜日で45分4000円(要予約)、木~日曜日は10分700円
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東京・渋谷区にあるFabCafe。2012年3月にオープンした。ものづくりのイベントも多数開催している
東京・渋谷区にあるFabCafe。2012年3月にオープンした。ものづくりのイベントも多数開催している