こやなぎ・えいじ:1951年生まれ。関東学院大学工学部を卒業後、高校の機械科教諭となり、高校生のロボットコンテスト全国大会で活躍する。高校教諭を務めながらも1992年に筑波大学大学院修士課程、2002年に同大学大学院博士課程を修了。2002年に桐蔭横浜大学工学部助教授、2005年に同大学ロボット工学科教授となる。2006年4月に千葉工業大学で現職。不整地移動ロボットの設計、走行および姿勢制御の研究を進め、災害探索ロボット「Quince」「Sakura(櫻)」などを開発している。(撮影:稲垣 純也)
こやなぎ・えいじ:1951年生まれ。関東学院大学工学部を卒業後、高校の機械科教諭となり、高校生のロボットコンテスト全国大会で活躍する。高校教諭を務めながらも1992年に筑波大学大学院修士課程、2002年に同大学大学院博士課程を修了。2002年に桐蔭横浜大学工学部助教授、2005年に同大学ロボット工学科教授となる。2006年4月に千葉工業大学で現職。不整地移動ロボットの設計、走行および姿勢制御の研究を進め、災害探索ロボット「Quince」「Sakura(櫻)」などを開発している。(撮影:稲垣 純也)
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 「爆発してしまったか。こうなれば、我々のロボットが行くしかない」。2011年3月、福島第一原子力発電所の事故をニュースで見た千葉工業大学の小柳栄次未来ロボット技術研究センター副所長は決意した。人の代わりに災害現場の閉鎖空間に潜り込み、状況調査をするために開発したロボット「Quince(クインス)」。クローラーを備えて階段や障害物をものともせずに乗り越える。化学物質や細菌による災害にも対応できるように防塵防水機構も備える。

 即座にQuinceの原発対応に向けた研究に着手した。障害物の踏破能力では世界一という自信がある。ただ、精密機器の固まりであるロボットを高放射線下で動かした前例はない。

2011年6月に東京電力の要請で福島第一原子力発電所に出発した「Quince(クインス)」の1号機。金属の壁で遮蔽された原発建屋の中を移動するために、500mの通信ケーブルを搭載して有線で遠隔制御する
2011年6月に東京電力の要請で福島第一原子力発電所に出発した「Quince(クインス)」の1号機。金属の壁で遮蔽された原発建屋の中を移動するために、500mの通信ケーブルを搭載して有線で遠隔制御する
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(左)2012年10月に発表した小型の新型機「Sakura(櫻)」。通路が狭い原発建屋の地下を探索できるようにQuinceよりも一回り小さい設計とした。原子炉格納容器の周辺で水漏れの箇所を特定するために使うことを想定する。(右)Quinceの改良型「Rosemary(ローズマリー)」。積載重量を60kgまで増やしたほか、バッテリー交換時の作業員の被曝量を下げるため、プラグを差し込むことで即座に充電できるように改良した
(左)2012年10月に発表した小型の新型機「Sakura(櫻)」。通路が狭い原発建屋の地下を探索できるようにQuinceよりも一回り小さい設計とした。原子炉格納容器の周辺で水漏れの箇所を特定するために使うことを想定する。(右)Quinceの改良型「Rosemary(ローズマリー)」。積載重量を60kgまで増やしたほか、バッテリー交換時の作業員の被曝量を下げるため、プラグを差し込むことで即座に充電できるように改良した
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