もりうち・だいすけ:1999年にNHKに入局。「紅白歌合戦」などを中心に、ステージセットやCGのデザインに携わる。2004年にNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」でグッドデザイン大賞を受賞。2010年よりNHKエンタープライズへ出向。企画プロデューサーとして「NHKスタジオパーク」のリニューアルに従事。2011年に成蹊大学の学園祭でプロジェクションマッピングの上映イベントを企画制作するなど、体験型映像を核としたメディアエンターテインメント事業を手掛けている(撮影:稲垣 純也)
もりうち・だいすけ:1999年にNHKに入局。「紅白歌合戦」などを中心に、ステージセットやCGのデザインに携わる。2004年にNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」でグッドデザイン大賞を受賞。2010年よりNHKエンタープライズへ出向。企画プロデューサーとして「NHKスタジオパーク」のリニューアルに従事。2011年に成蹊大学の学園祭でプロジェクションマッピングの上映イベントを企画制作するなど、体験型映像を核としたメディアエンターテインメント事業を手掛けている(撮影:稲垣 純也)
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 空に夕闇が広がると、約5年間の復元工事を終えた東京駅丸の内駅舎にまぶしいほどの光の束が当てられた。その光が、現実にはあり得ない眺めを次々と作り出す。建物自体が形を変え、塔は伸び縮みしながらぐるりと回転する。窓からは花、壁からは機関車や楽器が飛び出してくる。駅舎前の観客は現実の建造物とCGイメージとの見事な融合に驚きの声を上げた。

高輝度のプロジェクターで夜の建造物に映像を照射し、まるで生きているかのような動きや光の効果を付ける技術は「プロジェクションマッピング」と呼ばれる。森内大輔氏はこの技法を使い、東京駅の復元を飾る映像イベントの総合演出を担った。

 東京駅といえば日本の首都を代表するターミナル。同時に、日常の通勤・通学に利用する身近な場所でもある。ショッピング街やギャラリーのほかホテルも収まる。長い歴史を持ち、多様な機能を持つために、東京駅と聞いて連想するイメージは人によって違う。それだけに「皆さんが少しでも自分のイメージに近い東京駅を感じられるようにすることを心掛けました」と森内氏は語る。10分あまりの映像に登場する多様なモチーフは5人のCGクリエイターと共同でアイデアをまとめた。

9月22日と23日に東京駅丸の内駅舎の復元工事の完了記念イベント「TOKYO STATION VISION」が開催された。大正時代の創建当時と同じルネサンス様式レンガ造りの駅舎に、高精細CG映像を映し出した
9月22日と23日に東京駅丸の内駅舎の復元工事の完了記念イベント「TOKYO STATION VISION」が開催された。大正時代の創建当時と同じルネサンス様式レンガ造りの駅舎に、高精細CG映像を映し出した
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