カシャッ──。iPhoneで写真を撮ると、被写体が漫画さながらの画像となって記録される。そのリアルさが人気を呼び、アプリ「漫画カメラ」は公開から38日で300万ダウンロードを超える大ヒットとなった。
仕掛け人は、スーパーソフトウエア東京オフィス代表の舩木俊介氏だ。もともとは業務システムの開発などを手掛ける会社だが、新規事業としてスマートフォン向けアプリの開発に乗り出した。「当初、1万本も出ればいいと思っていました」と笑う。「世の中に必勝はありません。10本打ってやっと1本当たりが出る。だから、毎月1本アプリを出していこうと決めたんです」。
過去にはニーズをつかみきれず、失敗したアプリもある。その反省を基に、漫画カメラではユーザー心理をくすぐる工夫を盛り込んだ。輪郭の検出、明暗の判断や模様の塗り分けなど、使っている技術そのものは珍しくない。しかし、影の部分を斜線で表現するなど、「漫画独特の絵に近づけることを目指して画像変換エンジンを何度もブラッシュアップしました」。“集中線”や“描き文字”などの「フレーム」をかぶせるアイデアも秀逸だった。開発方針が決まると、エンジニア、マネジャーと舩木氏で意見を交換し合い、約3週間で完成させた。