やまもと・まさき:広島県生まれ。1987年、東京芸術大学大学院染織専攻修了。国内外にて染織技法を用いた立体作品の展覧会を多数開催。1990年、Macintosh購入を機に、グラフィックスデザインやテキスタイルデザインなども手掛けるようになる。2007年より現職。“On demandファッション”をテーマに、河口洋一郎氏などCGクリエーターと組んだCGアート着物の制作・発表などを続けている。同年より、デジタルコンテンツ協会の依頼を受け、イベント「ASIAGRAPH」における贈賞用のCGアート着物も制作している。(撮影:稲垣 純也)
やまもと・まさき:広島県生まれ。1987年、東京芸術大学大学院染織専攻修了。国内外にて染織技法を用いた立体作品の展覧会を多数開催。1990年、Macintosh購入を機に、グラフィックスデザインやテキスタイルデザインなども手掛けるようになる。2007年より現職。“On demandファッション”をテーマに、河口洋一郎氏などCGクリエーターと組んだCGアート着物の制作・発表などを続けている。同年より、デジタルコンテンツ協会の依頼を受け、イベント「ASIAGRAPH」における贈賞用のCGアート着物も制作している。(撮影:稲垣 純也)

 大胆な模様が全面に描かれた着物。柄の繰り返しはなく、全体が1枚の大きな絵になっている。生みの親は着物の手描き職人ではなく、パソコンとインクジェットプリンターを使った衣料制作に取り組む山本氏。コンピューターグラフィックス作成ソフトで作った図柄を、インクジェットプリンターで印刷。出来上がった布を縫い合わせ、1着の着物に仕立てる。

 布に模様を印刷するために広く使われているのが、シルクスクリーン印刷と呼ばれる方法。1色ごとに“版”と呼ばれる型を用意してインクを載せていくもので、大量印刷に向く。大量に印刷すれば版の費用が回収できるが、少量では採算が合わない。

 その点、インクジェットプリンターなら、版は不要。つまり、「多品種少量生産に向く」。個人の要望に応じた柔軟な服作りが可能になるわけだ。例えば着物なら、1着当たり8万円程度で制作できるという。

CGアーティストの河口洋一郎氏とのコラボレーション作品。河口氏のCGアートを着物に仕立てている
CGアーティストの河口洋一郎氏とのコラボレーション作品。河口氏のCGアートを着物に仕立てている
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(左)指導学生の卒業制作。花見の際に携帯電話で撮った桜の写真を使って図柄を作成した<br/>(右)インクジェットプリンターの強みを生かして、微細な模様を表現している
(左)指導学生の卒業制作。花見の際に携帯電話で撮った桜の写真を使って図柄を作成した
(右)インクジェットプリンターの強みを生かして、微細な模様を表現している
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生地への印刷に使われるインクジェットプリンター(写真はミマキエンジニアリングの「TS5-1600AMF」)
生地への印刷に使われるインクジェットプリンター(写真はミマキエンジニアリングの「TS5-1600AMF」)
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