おおひら・たかゆき:小学生の頃からプラネタリウムの自作に取り組み、学生時代にアマチュアでは例のないレンズ式投影機の開発に成功。1998年、170万個の星を映し出す「MEGASTAR」を発表し、話題に。2004年、「MEGASTAR-II cosmos」がギネス世界記録に認定。2005年、有限会社大平技研を設立。国内外施設へのMEGASTAR設置のほか、大型イベントやアーティストとのコラボレーションでプラネタリウムの可能性を開拓している。(撮影:稲垣 純也)
おおひら・たかゆき:小学生の頃からプラネタリウムの自作に取り組み、学生時代にアマチュアでは例のないレンズ式投影機の開発に成功。1998年、170万個の星を映し出す「MEGASTAR」を発表し、話題に。2004年、「MEGASTAR-II cosmos」がギネス世界記録に認定。2005年、有限会社大平技研を設立。国内外施設へのMEGASTAR設置のほか、大型イベントやアーティストとのコラボレーションでプラネタリウムの可能性を開拓している。(撮影:稲垣 純也)
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 星空の大部分を、デジタル式で投影。100個ほどのごく明るい星だけを、光学式で映し出す──。大平氏が開発した最新型プラネタリウム「MEGASTARIII FUSION」は、その名の通り光学式とデジタル式の融合(FUSION)だ。星空を自在に動かせる、迫力ある映像を投影できるといったデジタル式の強みを生かしつつ、明るい星の輝きは光学式で鮮明に表現する。これまでに例のない手法という。

 幼い頃から星空に魅せられ、10歳で卓上プラネタリウムを自作した。高校時代はロケットに熱中。授業そっちのけで電卓と紙に向き合い、複雑な弾道計算を繰り返した。

 これを見た友人からコンピューターを教えられ、開眼。数万個に及ぶ星の穴を原板に開ける作業や、機械の自動制御など、プラネタリウム制作にもコンピューターを活用するようになる。大学生のとき、個人制作としては異例のレンズ投影式プラネタリウムを完成。その後も、「MEGASTAR」を皮切りに新作を次々と生みだし、世間を驚かせている。

現在のプロジェクターでは輝度に不足があり、明るい星を鮮明に映し出すのが難しい。そこで100個ほどの明るい星は光学式、それ以外の星はデジタル式と2つの方式を融合させ、美しい星空を創り出す
現在のプロジェクターでは輝度に不足があり、明るい星を鮮明に映し出すのが難しい。そこで100個ほどの明るい星は光学式、それ以外の星はデジタル式と2つの方式を融合させ、美しい星空を創り出す

かわさき宙と緑の科学館(川崎市)に2012年4月に登場した「MEGASTAR-III FUSION」
かわさき宙と緑の科学館(川崎市)に2012年4月に登場した「MEGASTAR-III FUSION」
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MEGASTARの表面。光学レンズが埋め込まれている
MEGASTARの表面。光学レンズが埋め込まれている