東京大学工学部。圧倒的多数を男性が占める“男の園”に、女性同士の明るく軽やかな話し声が響くことがある。CHORDxxCODEの活動日だ。
代表の橋田朋子氏は、東京芸術大学を卒業後、東京大学に籍を置いた研究者。研究室などで発言を始めると「“それは違うのでは”“新規性はあるのか”と、ロジックを直されることが多い」(橋田氏)と感じた。
そこで恋しく思ったのが、女性同士のおしゃべり。出された意見を“そうだよね”と認め合いながら、会話を深めていく。こうした「女子らしい共感の場が欲しくて周囲に声をかけた」(橋田氏)ところ、情報学、環境学、心理学などの研究者が集結。女性的感性(CHORD)と論理的思考(CODE)の融合による新たなもの作りを目指し、エンジニアリング・サロンを発足した。
おしゃべりの場では、たわいのない内容でも躊躇なく発言する。「新規性は?と問われると言葉にならないが、何となく新しいことって割とある。そこに共感していくうちに、ほかにないものが生まれる」(橋田氏)。初の作品「Fruit Plotter」は、本をただせばメンバーの1人の“イチゴを腐らせた”というエピソードから生まれたものという。