明治大学情報コミュニケーション学部は、2013年度の入学試験科目に教科「情報」を導入する。高等学校の普通教科として、2003年に新設された「情報」。コンピューターの仕組みやインターネットの利用法、情報モラルなど、現代の社会生活に必要な知識を扱うが、大学入試科目としては広く採用されてこなかった(関連記事)。だが、慶應義塾大学環境情報学部が2016年度からの導入を表明するなど、ここへきて状況が変化しつつある(関連記事)。

 明治大学が、教科「情報」を入試に導入する狙いは何か。情報コミュニケーション学部の学部長を務める石川幹人教授に聞いた。

■なぜ今、教科「情報」を導入するのでしょう。

 情報コミュニケーション学部は、2004年に発足しました。4~5年ごとにカリキュラムを改訂するのですが、次の改訂が2013年4月になります。さまざまな改革をするうちの一つとして、教科「情報」を使った入試に取り組むことにしました。教科「情報」が、我が学部の特徴を示すものだと考えたからです。

 情報コミュニケーション学部は、基本的には文系の学部です。法学、経済学、社会学、心理学など、さまざまな分野の知見を総合して、現代の社会が直面する問題に取り組むことを目的としています。つまり、学問分野の多様性を持つことが特色です。文系だけでなく、理系的な分野も備えておきたいと考えています。

 2004年の発足当初、情報コミュニケーション学部はパソコン系の学部と思われていたようで、理系に強い学生が多く集まりました。一般入試科目としては国語を高い配点で採用していますが、センター試験を利用した試験方法などを選べば、国語が苦手な学生も受験できます。ただ、「基本的に文系の学部だ」という大学側の宣伝が効いたのか、その後は理系の学生が減ってきました。

 私は、そうした学生の比率を、2004年くらいの水準に戻したいと考えています。例えば、学部内にはメディア表現など表現系のテーマに取り組む学生がかなりいます。ネット技術のスキルを持つ学生が少数でもいてくれることで、こうした部分が大きく前進するのです。

 これまでは、数学が得意な人は理系に進む、という雰囲気がありました。しかし今や、社会科学においても数学が得意な学生は必要です。数学が得意で、文系に来る人を増やしたいのです。