たまき・あきら:1968年生まれ、愛知県立芸大卒。91年、郵政省に技芸官(デザイナー)として入省。切手デザインのデビュー作は93年発行の「農業試験研究100年記念」切手。以後、年間十数種類のペースでデザインに取り組み、これまでに約270種類の切手を手掛けた。代表作は「国際文通週間」(東海道五十三次シリーズ)、国民体育大会シリーズ、「東日本大震災寄附金付」切手など。民営化を経て、現在の肩書は、郵便事業株式会社 営業本部郵便事業部 切手・葉書室 デザイン担当 主任切手デザイナー。(撮影:稲垣 純也)
たまき・あきら:1968年生まれ、愛知県立芸大卒。91年、郵政省に技芸官(デザイナー)として入省。切手デザインのデビュー作は93年発行の「農業試験研究100年記念」切手。以後、年間十数種類のペースでデザインに取り組み、これまでに約270種類の切手を手掛けた。代表作は「国際文通週間」(東海道五十三次シリーズ)、国民体育大会シリーズ、「東日本大震災寄附金付」切手など。民営化を経て、現在の肩書は、郵便事業株式会社 営業本部郵便事業部 切手・葉書室 デザイン担当 主任切手デザイナー。(撮影:稲垣 純也)
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 切手・葉書室。郵便事業株式会社で、記念切手などのデザインを手掛けるデザイナーが、ここにいる。メンバーはわずか6人。玉木明氏は、キャリア20年と最も長い経験を持つベテランだ。

 切手デザインにもパソコンが導入されて10年ほどたつ。「一番の利点は、手描きの時代に比べてデザインを取り消したり、やり直したりすることが早く、容易になったこと」だと言う。

 玉木氏のキャリアとデジタルツールの利点が生かされたのが、「東日本大震災寄附金付」切手だ。3月11日の震災発生後、急きょ発行が決まり、6月に発売された。印刷は4月に設定されたため、通常2~3カ月かかるデザインを実質1週間でこなさなければならなかった。制作に当たっては、最初にモチーフであるハートを手描きでデザイン。これをスキャンした後、色を付けたり重ねたりして花の絵を構成し、短期間に5種類のデザインを仕上げた。

モチーフになったハートは、製図ペンで描かれた。ふわふわした輪郭に手描きの風合いが表れている
モチーフになったハートは、製図ペンで描かれた。ふわふわした輪郭に手描きの風合いが表れている
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絵をスキャンして画像データにする。以後の工程は全てパソコンで作業
絵をスキャンして画像データにする。以後の工程は全てパソコンで作業
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ハートに色を付けたり、重ねたりして花の絵柄を構成した
ハートに色を付けたり、重ねたりして花の絵柄を構成した
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