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瀬井 裕太郎(せい ゆうたろう)
1961年、福岡県生まれ。立教大学経済学部卒業。83年にワイ・イー・データに入社し、FDDの販売などを担当する。93年に相栄電器に移り、取締役営業部長、ソフトウェア事業部長、常務取締役営業本部長などを経て05年に社長に就任。Diskeeperの販売は、96年から手がけている
(撮影:村田 和聡)

 ファイルの断片化は、ハードディスクの宿命。パソコンを使うからには避けて通れない─。そんなこれまでの常識を打ち破るソフトが登場した。相栄電器が発売した「Diskeeper2010」は、断片化の発生そのものを抑えることができるという。なぜ、そんなことが可能になったのか。同社トップに聞いた。

■御社が昨年12月に発売した「Diskeeper2010」には、ファイルの断片化を抑制する「インテリライト機能」が搭載されています。どんな仕組みで断片化を抑制しているのですか。

 話をわかりやすくするために、まずファイル管理の仕組みからご説明しましょう。

 ご存知の通り、ファイルの保存・管理は、Windowsのファイルシステムが担当しています。ところが、Windowsのファイルシステムは、書き込み時にファイルのサイズを正しく認識できません。せっかくまとまった空きスペースがあっても、そこに記録せず、小さな空きを見つけては場当たり的に記録してしまいます。その結果、1つのファイルがバラバラに配置され、断片化が進行してしまうのです(図1)。

 それに対して、今回のDiskeeper2010は、データをHDDに書き込むときに、そのファイルのサイズを認識できるようになりました。これが、断片化防止のキモです。ファイルサイズがわかれば、それをまとめて配置できる空きスペースを探し出し、そこにファイルを保存すればいい。そうすれば、ファイルの断片化は起こりません(図2)。

【▼従来型=空席を見つけたらすぐに座ってしまう】
図1 Windowsのファイルシステムは、書き込み時にファイルのサイズを認識できない。まとまった空きスペースがあっても、そこに記録せず、小さな空きに場当たり的に記録してしまう
図1 Windowsのファイルシステムは、書き込み時にファイルのサイズを認識できない。まとまった空きスペースがあっても、そこに記録せず、小さな空きに場当たり的に記録してしまう
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【▼新技術=全員が並んで座れる空席を探す】
図2 Diskeeper2010は、データをHDDに書き込むときに、ファイルのサイズを認識できる。それと同時に、まとめて配置できる空きスペースを探し出し、そこにファイルを保存する
図2 Diskeeper2010は、データをHDDに書き込むときに、ファイルのサイズを認識できる。それと同時に、まとめて配置できる空きスペースを探し出し、そこにファイルを保存する
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■なるほど。しかし、いつも空きスペースが見つかるとは限りません。大容量のファイルを保存する場合、1カ所に連続配置できる場所が見つからないかもしれない。

 それは、おっしゃる通りです。十分な空きスペースがない場合、1カ所にまとめて配置することは物理的に不可能です。従って、このインテリライト機能が効果を発揮するには、ある程度HDDがデフラグされていて、連続的な空きスペースが十分確保されていることが前提条件です。

 こうした条件が整った環境であれば、大体80~90%の確率で断片化の発生を防止できます。そこで打ち漏らして断片化を発生させたものについては、これまで通りの手法でデフラグする。この二面作戦で、断片化を抑制・解消していくのが新製品の考え方です。