特定非営利活動(NPO)法人Checkが運営する「Check A Toilet」は、クチコミ情報を基に全国のトイレマップを作るプロジェクト。トイレの所在地のほか、車いすへの対応や授乳室の有無といった設備も調べられる。

 アイデアの発端は、金子氏が旅行会社で介護老人ホーム向けツアーを企画していた経験にある。「お年寄りはトイレが不安だから、出掛ける日は朝から水を我慢します。でも、本来、旅は我慢して行くものじゃない」。参加者が安心して楽しめるよう、事前に現地のトイレの状況を調べた。これが大変な手間だったという。「もっと楽に調べられるようにできないかと考え、たどり着いたのがトイレマップなんです」。

 思い立ったら一直線の人である。「トイレマップを作る」と宣言して旅行会社を退社。「システムの勉強になるから」とシステム開発会社に入社し、その後、「昼間活動できるから」と別の夜間コールセンターに移った。そして、2007年にCheck A Toiletを立ち上げた。

 このとき協力してくれたのは、地元や学生時代の友人だという。「とにかくお金がなくて。投資しなくていいから力を貸してくれと口説いて、Webディレクターやデザイナーを集めました」。

 こうして手作りで作り上げた「Check A Toilet」は、今や他サイトにも波及する大プロジェクトになっている。2009年12月時点で登録されているトイレは2万8000以上。その情報は同サイトのほか、ソニースタイル・ジャパンの「PetaMap」やグーグルの「Googleマップ」といった他社の地図サイトにも利用されている。

 「取りあえず情報提供の環境は整ったと思う」と金子氏。次は登録環境の整備を図る。「もっと手軽に、正確に登録できるようにしたい。きれいなトイレがあるから教えてあげよう─そんな気軽な気持ちが誰かの役に立つようにしたいですね」。