「らくらくパソコン」をはじめとする個性的な製品を世に送り出す一方で、富士通はここにきて、年間1000万台のパソコン出荷を目指し、製品開発・製造戦略のグローバルな改革を行っている。そのカギとなるのが、“Made in Japan”にこだわる同社のノートパソコン生産を一手に担う島根富士通だ。具体的な戦略とその中で島根富士通が果たす役割、現状の取り組みについて、島根富士通代表取締役社長の宇佐見隆一氏と、富士通 パーソナルビジネス本部 本部長代理の三竹兼司氏に聞いた。聞き手は、日経パソコン発行人の宮内祥行。

島根富士通代表取締役社長の宇佐見隆一氏
島根富士通代表取締役社長の宇佐見隆一氏

富士通 パーソナルビジネス本部 本部長代理の三竹兼司氏
富士通 パーソナルビジネス本部 本部長代理の三竹兼司氏

出雲空港から車で15分ほどの場所にある島根富士通本社工場。富士通のノートパソコン生産の基幹工場だ。マザーボード製造から最終組立まですべての工程を一貫して行う
出雲空港から車で15分ほどの場所にある島根富士通本社工場。富士通のノートパソコン生産の基幹工場だ。マザーボード製造から最終組立まですべての工程を一貫して行う
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■ワールドワイドの製品開発・製造戦略の中での島根富士通の位置づけ、今後の計画を教えてください。

 宇佐見氏:2008年から2009年にかけての最も大きな変化は、2009年4月、欧州の富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)が富士通の100%子会社になったことです。これに伴い、富士通のノートパソコンは、普及価格帯の一部の製品を除き、すべて島根富士通で生産し、全世界へ供給されることとなりました。ノートパソコンの開発・設計は川崎工場で行い、FTSは欧州市場向けのデスクトップパソコンおよびワークステーションの開発を担当します。グローバル戦略の中で、島根富士通は国内のみならず海外にも目を向け、一段と大きな役割を果たすことを求められるようになりました。