小型・軽量で持ち運びやすく、フル機能のWindowsが動くのに、わずか5万円――。台湾アスーステック・コンピューター(ASUSTeK、ASUS)が「Eee PC」で先鞭を付けた低価格ミニノートは、1年も経たないうちに世界的なブームを巻き起こした。

 そのASUSが出したミニノートの新製品「N10J」は、意外にも「Eee PC」を名乗らない。実勢価格も約10万円と、価格面でも今までの枠組みから一歩踏み出すものであった。ASUSはどんな戦略でN10Jを出したのか。競争が激化している低価格ミニノート市場をどう見ているのか。既存のパソコン市場への影響をどう考えているのか。アスース・ジャパン ゼネラルマネージャーのケビン・ドゥ氏に聞いた。(聞き手は金子 寛人=日経パソコン)

■7月に発売した「Eee PC 901-X」の販売状況をどう見ているか。

 7月から現在(9月19日)まで、非常に良い状況で推移している。特に8月は、国内における12型以下のノートパソコン販売台数でEee PC 901-Xが第1位、Eee PC 4G-Xが第2位を獲得。同ジャンルで約7割のシェアを獲得したとみている。

■発売当初は出荷台数が少なく、品薄の状態が続いていた。これがなければもっと出荷台数を伸ばすこともできていたのではないか。

 確かに、発売当初は売れ行きが予想以上に良く、品薄になってしまった。これは、当社が販売台数を事前予測する過程で保守的に見積もっていたことが大きい。低価格ミニノートは当社にとっても新しい市場だ。そして、全世界に向けて一斉出荷していることもあり、品薄を解消するだけの十分な追加供給をしづらい状況が続いてしまった。

 現在、Eee PCの販売は好調だ。当社ではかねて、2008年の出荷目標を500万台としているが、これは確実にクリアできる。私はグローバル担当ではないので個人的な憶測だが、少なくとも500万台以上、多ければ600万台に達するかもしれない。