携帯電話の音声通話はほとんど使わない人が増えている。私も、その一人。ビジネス上の重要な連絡はメールやファイル共有で、音声で打ち合せしたいときはFaceTime、Skype、IP電話などを使用。その方がクリアな通話ができるし、Skypeなら会議通話もできる。しかも格安で! というわけで、iPhoneの音声電話契約を解約して格安データ通信SIMだけに移行しようとしていろいろ失敗。無駄金、時間の浪費…読者の皆さんがその轍を踏まないよう、かいつまんで、いきさつを披露しておこう。

まずは、キャリアの契約無しで仕事ができるか確認

 話を始める前に、まず、私の利用環境から整理しておこう。かなり変則的な利用形態だが、そこは、さまざまな歴史的経緯もあったということでご理解いただきたい。デスクトップはMac mini、iMac 27インチ、MacBook Proなど、モバイルデバイスはiPhone 4s(ソフトバンク)、iPhone 6(IIJmio+SMS付きデータ通信SIM)、iPad 3 Wi-Fiモデル。いずれもOS X 10.10(Yosemite)、iOS 8にアップデートしており、最新の機能がほぼすべて使える状態だ。

 iPad 3を外出時に使う場合は、iPhone 6(IIJmioのデータ通信カード)のテザリング機能をオンにしてBluetoothで「ネットワーク共有」し、インターネット接続を利用している。

 この状態で携帯電話のキャリア契約無しで仕事がちゃんと成り立つかどうか、まず確認することから始めた。つまり、iPhone 4sはお蔵入りさせ、いわゆる格安データ通信SIMカードのみを刺したiPhone 6でモバイル時に支障なく仕事ができるかどうか確認した。データ通信専用+SMS(ショートメッセージサービス)送受信機能付きのSIMを挿したiPhone 6では「音声電話」通話はできないが、電話番号というものは持っており、その電話番号を使うことで各種インターネットサービスの個人認証コードなどを受けることができる。最近はセキュリティ強化のため、2段階認証を受けるようにしているので、電話番号向けに送られてくるSMSが受けられる必要がある。従って、「格安データ通信SIM」であっても、SMS受信機能は仕事上、どうしても必要だ。IIJの場合、このオプションは月額140円で提供している(図1)。

図1 各種クラウドサービスは本人確認の信頼性を高めるために2段階認証を使っている。このときの連絡にSMS機能が必須。データ通信SIMにSMS通信機能を付けておかなければならない。
図1 各種クラウドサービスは本人確認の信頼性を高めるために2段階認証を使っている。このときの連絡にSMS機能が必須。データ通信SIMにSMS通信機能を付けておかなければならない。
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 データ通信専用SIMとはいうものの、インターネットに接続できればiOSのFaceTime、Skypeなどを使えばきれいな音声で通話できる。相手も同じ仕組みが使えるなら、どこに居ても無料でビデオ会話ができるところが素晴らしいところだ。国際電話がタダって、信じられないかも知れないが、それがインターネットというものだ。相手がネットワーク機器を使えず、普通の電話しかない、という場合は有料となるがSkypeから電話回線に向かって発信もできる。IP電話サービスの「050 plus」などを使えば、ちょっと音質が悪くなるが、普通の電話と同じように通話ができる。

 もちろん、LTEのカバーエリア内であれば、高速データ通信できるから、双方で大きな画像データをやりとりしなければならないときでもストレスなく仕事ができる。iPhone 6からテザリングしてネット接続しているiPad 3上でもGoogleマップをグリグリ動かすなんて作業も問題ない。