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松浦 晋也=ノンフィクション作家 2014/02/17 PC Online

 今回は理化学研究所が発表した多能性細胞の話の続き――の予定だったのだが、2月14日金曜日になって、論文中で使用された写真に偽造の疑いありというような話が出て来て、理化学研究所が専門家による調査を開始したという報道までなされた。理化学研究所は「現時点では研究成果は揺るぎないと判断しているが、外部から指摘があったため調査を始めた」というコメントを出している。

 捏造ならばいずれ画像解析の専門家の調査によって白黒決着が付くだろうし、STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)が、本当に多能性を獲得しているかは専門家が行っている追試で判明するだろう。我々としてはその結果を待つしかない。なので、予定を変更して、ちょっと別の視点から話をしたい。

 このニュースで非常に面白いのは、最初の指摘が誰か特定の個人というよりもネットの匿名空間の中でなされ、さまざまな人々がネットを通じて検証作業に参加したということである。私の友人の画像解析の専門家も参加しており、私は彼を通じて、検証が進むのを見守ることになった。

 ここに、ネットという情報空間の大きな特徴が現れている。自分は特定の問題に対して、豊富な知識と知見を持って情報を発信していると思っていても、広大なネット空間のどこかには必ず自分以上に能力のある人がいるという事実だ。

 ひとたび問題が持ち上がるとさまざまな人々が知識を持ち寄り、その中から自分が思っていたり、発言していたりするよりも、ずっと正確で精緻な問題の解決法が立ち現れるということである。

 私はかれこれ四半世紀も、ジャーナリストの立場から日本の宇宙開発をウオッチしてきた。ずいぶんと取材を重ね、知識を蓄積し、経験を積んだつもりだが、それでも開発や運用の現場で働いたわけではない。ネットにはこの“現場経験を積んだ人たち”が多数いるわけで、そういう人たちのネットにおける発言に教えられることは非常に多い。そして、そんな自分でも、「科学的・技術的に難しい事柄を可能な限り平易に語る」ということでは、彼ら専門家よりもうまくできている……と思っている。ただし、自分が日本で一番、世界で一番、うまくできているわけではない。私よりずっとうまく語れる人は必ず1人ならず存在する。

 それぞれに異なる能力を持つ人々が集い、その中で生成するさまざまな知見や認識のうち最も優れたものが全体で共有される――すると、集団全体の知見や認識が底上げされ、あたかも集団が個々の構成員よりも優れた知性体として機能しているかのような状態となる。

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