従業員やアルバイトがTwitterに“悪ふざけ”を投稿し、世間を騒がす事例が目立つ。大学の教育現場でも「若者の幼稚化」を実感することは多い。彼らは、小学生がやるようなイタズラを喜んでいるのである。

 しかも、ネットで全世界に公開してしまうのだから恐れ入る。一度ネットで公開すれば、自分が削除した後も、保存した誰かが公開し続ける。マスコミを含め、世界中に「晒(さら)され」続ける可能性が高い。

 経営者としては、他人事とは言っていられない。幼稚化した若者は続々と入社してくる。だが、宣伝・広報のためにはソーシャルメディアを全社で活用したい。このジレンマの中で、どうすれば従業員の悪ふざけツイートを防げるのか。経営者の心得を考えてみた。

1.ツイート履歴をよく見て採用

 履歴書と面接だけでは、人の本性は分からない。だが日常的に利用するソーシャルメディアには、その人の人格がにじみ出る。また、ソーシャルメディアを使っていない人は、いざ始めたときに何をしでかすか分からない。

 そこでまず、ソーシャルメディアの活用を採用条件に加えてみよう。そして、発言内容を遡って吟味したい。

2.ネットに残ると子孫が恥ずかしい

 「子孫に恥ずかしくないように」と心に刻めば悪いことができなくなる。目先の利益や個人の楽しみのためにやった悪事が、時代を超えて悪影響を与えると教育しよう。原発事故など公害をもたらした企業に共通するのは、後世の子供たちのことを考えずに暴走したところ。子孫は祖先の愚行を恥じるはずだ。悪ふざけツイートも同じである。

3.従業員が誇りを持てる経営理念

 全従業員がツイートする時代、ブラック企業がネットで炎上する時代だからこそ、心のよりどころとなる崇高な経営理念が大切だ。会社と自分の仕事が、世のため人のためになっていると納得できれば、つらい仕事でもがんばれる。一方、会社だけがもうけて、社会にも役立っていないと思えば、不満ばかりが募る。勢いあまって、悪ふざけツイートや内部告発をしたくなる。

4.毎日の朝礼で経営理念を唱和

 どんなに素晴らしい経営理念も、従業員の心に刻まれるには時間がかかる。経営理念を記した“クレドカード”を全員に配っても、その精神が身に付くわけではない。そこで、前時代的ではあるが、朝礼などに際して全員で唱和するとよい。弊社の経験では、経営理念の唱和を3年ほど続ければ従業員が変わる。ソーシャルメディアで発信するときも、心の軸ができてぶれない。

5.個人の実名での活用を推奨

 弊社では、従業員がそれぞれ個人名でTwitterやFacebookを使い、発信している。仕事も個人も分け隔てなく、必要なら仕事中に発信してもよい。つまり、会社という城の一兵卒ではなく、それぞれ自分の城の城主となるわけだ。そうすれば、自分の城を美しくこそすれ、わざわざ自分で汚すはずがない。

 一方、団体が運営するサイトの中の一人では、集団無責任体制になり、裏で荒れる恐れがある。

6.一番のお客様と経営者が友達

 自分の城=ソーシャルメディアが、大切で特別な場所になるかどうかは、どんな友達とつながるかにかかっている。だから、社員が開設したソーシャルメディアには「一番大切な取引先」から順番にご招待するように勧めよう。そうすれば、お客様を褒めこそすれ、悪口は言わなくなる。社長や役員も最初から友達になれば、会社の代弁者にこそなれ、社内クレーマーにはならない。

7.チェックはしないで権限委譲

 選ぶべき人を選び、従業員の心を一つにする理念を確立し、各人にソーシャルメディアの城を授けたら、思い切って権限委譲するのが一番だ。いちいち社員の発言をチェックしていては、管理者も身が持たない。それでも、仕事でつながりが深い得意先・取引先の担当者やパートナーが見守っていてくれる。だからこそ、周囲の人たちに喜ばれるツイートをしたくなるのだ。