筆者の机の上には、スマートフォンを置くためのスタンドがあります。筆者が帰ってきて、このスタンドにスマートフォンを置くと、Bluetoothが自動的にオンになって、デスクトップパソコンと接続します。そして、スマートフォンの音楽プレーヤーが起動して音楽の再生が始まります。スタンドは、秋葉原で買ってきた普通のもの。純正のオプションでもありません。

 秘密は、スタンドに貼ってあるNFCタグのシールです。AndroidのNFCアプリがインストールしてあり、スタンドに貼ったシールに一連の指示が記録してあるのです。スタンドに置くと、スマートフォン背面のNFCリーダーがこれを読み取り、アプリが指示に従って動作するわけです。

 NFCが規格化され、Androidに組み込まれたために、こうしたことが可能になったのです。もちろん、NFC対応であれば、スマートフォンはどれでも大丈夫です。

 この機能は、NFCのタグリーダー/ライターの機能を利用していて、NFC対応のAndroidならすべて利用できます。NFCタグは登場当初は高かったのですが、現在では1枚100円以下で入手可能です。筆者は、Amazonで20枚入り1365円というタグを購入しました。1枚当たり70円弱です。

AmazonでNFCタグを購入した。送られてくるのはこんなパッケージ。
AmazonでNFCタグを購入した。送られてくるのはこんなパッケージ。
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中にはNFCタグシールが20枚入ってる。シールの粘着面にはアンテナなどが見える。この下にNFCチップが入っている。
中にはNFCタグシールが20枚入ってる。シールの粘着面にはアンテナなどが見える。この下にNFCチップが入っている。
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 これは、丸いシールの裏側にアンテナが印刷してあり、小さなICチップが貼り付けられています。NFCタグ自体は、単にデータを保持しているだけで、NFCリーダーがこれを読み取って、内容を解釈して処理を行います。また、タグには、もう少し固い素材できた「チップ」のようなものもあります。形はいろいろありますが、基本的な機能は同じです。

 これを使えば、例えばリビングに移動したら別の無線LANアクセスポイントに接続するとか、冷蔵庫に貼ったシールを読んだら料理レシピのWebページを開くとか、車のスマートフォンスタンドに置いたらハンズフリー接続して地図やナビのアプリを起動する、といった一連の処理が行えます。あるいは、NFCタグに自分の連絡先を登録しておいて、名刺代わりに相手に読んでもらうこともできます。

 なんだか、専用のアプリ起動ボタンが増えたような感じです。NFCの物珍しさもあるのですが、設定やアプリの起動などをシールにタッチするだけでいいという点が違います。シールをあちこちに貼って、その場所に依存した処理を実行するというのもあるのですが、一連の処理を起動するユーザーインタフェースとしても便利そうです。シールなので貼らないとなくなりやすいのですが、カードなどの何か固いものに貼り付けて持ち歩けば、それをかざすだけで設定やアプリが起動します(NFCチップはこうした使い方を想定したものでしょう)。モバイルルーターなら接続の設定を書き込んだNFCシールを貼っておいて、使うときには、これにスマートフォンでタッチするという使い方もありでしょう。

 NFCタグで何ができるようになるかは、アプリ次第です。AndroidのPlayストアを「NFC」で検索すると、多数の対応アプリが登場しています。NFCタグの検出で特定の処理を行うものから、タグへの書き込みができるものなど、さまざまあります。AndroidのNFC機能には「リーダー/ライター」が含まれているので、NFCタグに情報を書き込むこともできます。タグには、1つ1つ個別の番号があるため、他のタグで誤動作するということはありません。Androidの場合、書き込まれた情報からアプリを起動できます。また、アプリがインストールされていない場合、Playストアの該当のアプリのページが開きます。