大変妙な連載形態になってしまっているが、前々回から取り上げている児童ポルノ禁止法改正案についてごく手短に。同法案は6月26日に衆議院法務委員会で継続審査となった。今次国会は参院選を控えて荒れており、いくつもの法案が廃案になっている。その中で実際の審議に入ってもいないのに継続審査という異例の事態となった。参議院選挙では与党自由民主党の勝利が予想されており、次期国会で審議されると衆院・参院とも賛成多数で可決される公算が強まった。

 ここからは、与党内の調整が問題となる。法案に疑問を持つ与党議員が増えれば、法案は修正となるからだ。単純所持禁止とマンガ、アニメなどへの規制の撤回のためには、選挙民から地元与党議員への働きかけがより一層重要になる。

 前々回も書いたが、この法案は児童ポルノ規制の美名に隠れて、思想・良心の自由(憲法第19条)、言論・表現の自由((憲法第21条)を侵害するものである。しかも実際に虐待に苦しむ児童を救う役にはほとんど立たない。現実に性的虐待を含む児童虐待の主犯の多くは、性的嗜好に問題を持つ第三者ではなく――大変悲しいことだが――被害児童の親なのだ。必要なのは児童ポルノを持っていることを犯罪とすることでも、マンガ・アニメに規制をかけることでもない。適切なタイミングで虐待が起きている家庭に社会が踏み込んで子どもを救う仕組みなのである。