今回は元に戻って原発導入の歴史を追っていくが、その前に前回扱った児童ポルノ規制法案の単純所持規制とマンガ・アニメ規制について補足しておく。

 前回の記事以降、この「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」(衆議院法制局)に反対している山田太郎参議院議員(みんなの党・比例区)が、自らが解説するストリーミング放送「みんなの3ちゃんねる」6月5日放送で、この法案の持つ大きな危険性を指摘した(アーカイブは6月10日現在、「ニコニコ動画」で見ることができる)。

 今回の法案の附則第二条は以下のようなものだ。

 第二条 政府は、漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するもの(次項において「児童ポルノに類する漫画等」という。)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとする。

2 児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 普通に日本語として読むと、「マンガなどの規制は3年かけて調査研究をして、その結果で規制するかどうかを決める」と読めるのだが、山田議員が法制局(法制局は、内閣、衆議院、参議院に設置されている。山田議員はどこの法制局かを明言していないが、おそらくは参議院法制局であろう)に問い合わせたところ法律用語としての解釈は全く異なるという回答を得たという。
 法律用語による読み方では、この附則は「政府に対して“必要な処置を講じなくてはいけない”と義務を課す」と読む。必要な処置とは、「規制と閲覧と制限」だ。つまり今回の法案が可決すると、自動的に3年後には「マンガやアニメーションなどへの規制」が始まるということになるのである。

 法案提出側も法案を作るに当たっては法制局と相談をする。つまり提出側は、この法案でマンガ・アニメーションなどへの規制をかけられることを認識している可能性が非常に高い。今回の法案が通るだけで、思想・良心の自由(憲法第19条)、言論・表現の自由((憲法第21条)を犯す法律が制定されることになる。

 山田議員は、この条項が法案そのものではなく附則に入っていることについて「附則まできちんと読まない議員もいる」として、提案側が、見逃されやすい附則の中に実質的な規制を潜り込ませた可能性を指摘している。

 現状では法案は提出されたが審議に付託されず、議院運営委員会で止まっている。自民党内部でも法案に対する疑義が出ており、論点を整理する必要があるとする議員もいるとのことだ。

 前回の繰り返しになるが、危惧を感じた方は地元選出の国会議員事務所に、メールでもファクシミリでも構わないので意見を表明していただきたいと切に願う。この問題は根が深い。問題のある法案は二度と提出されないように持っていくべきと思う。