かなり間を空けてしまいました。申し訳ありません。歴史に踏み込んだことで大量の資料を読み込まねばならなくなったことと、錯綜する歴史的事情を可能な限り簡潔に説明するのに手間取り、2カ月も空白を作ってしまいました。

 以下、前回の続きです。前回も読み返して頂けると幸いです。1954年にビキニ環礁の水爆実験「ブラボー」で起きた、第五福竜丸被曝事件の続きです。

 第五福竜丸の乗組員に関して注目すべきは彼らの病状と、特に、死亡した久保山愛吉氏の死因である。

 彼らは、ブラボー実験で発生した放射性同位体を含む降下物を身体に浴び、一部は体内に摂取してしまった。また、航海の帰途、第五福竜丸に付着した放射性同位体の発生する放射線を2週間にわたって浴び続けた。各個人によって多寡はあるだろうが、彼らが1人ひとりが3月1日から14日までの期間に浴びた放射線の総量は、現在の単位系に換算して1.7~6Gy(グレイ)と推定されている。