今年50歳になる筆者は、年頭のブログで「五十路プロジェクト」を始めると宣言した。今後10年間をかけて、家業・公業・私業の3分野で、何を成し遂げたいか公表したのである。

 内容は盛りだくさんで、普通に考えたら10年あっても時間が足りない。それでもあえて宣言したのは、ITの活用と生活習慣の工夫次第で、自分が想像するよりも「はるかに幅広く深い仕事ができる」と思ったからだ。

 ネットを活用すれば、自分やチーム全体の生産効率を上げて、必要な時間を短縮できる。さらに、住む世界が異なっていた人とも親しくなれ、顔を合わせなくとも毎日交流&協働できる。

 今回は、五十路プロジェクトの実現に向けた筆者のノウハウを紹介しよう。

1.PC&スマホで予定を積極管理

 今やクラウドのサービスで、会社や自宅のパソコンはもちろん、スマホでも自分と同僚の予定を共有できる。弊社では、経営者である私の予定を全社員が閲覧していて、私の予定を社員が入力することもできる。だからこそ自分で積極的に予定を入れないと、受け身の仕事であふれてしまう。私の予定表は社内で一二を争う濃密さだが、過密スケジュールになればなるほど、スキルも身に付き生産性も上がるのだ。

2.年間目標を日割りの「To Do」に

 毎年、新しいことを始める目標を立てたら、Excelなどで「To Doリスト」を作ってから、日割りのスケジュールに落とし込む。例えば、今年私は「日本製愛用品を毎週1回紹介するブログ」を始める。そこで、最初に1年分52種の商品を選んでTo Doリストにした。その上で、「毎週○曜日の○時から、○時間で記事を書く」などと決めておく。このTo Doリストに、具体的に1年先まで予定を書き込むのだ。

3.創造的な仕事は朝に集中処理

 企画や文書作成といった創造的な仕事は、頭のさえている朝一番に集中して行うに限る。積み残した雑用から片付けがちだが、それでは知的生産性もやる気も落ちる。朝の1~2時間に集中して創造的な仕事をし、その後、メールや電話、補助事務といったルーティンの雑用を細切れにして交互に挟もう。人と会う仕事は、ランチを活用したり、ゆるみがちな午後以降にしよう。

4.リアルとネットを使い分け

 ともすると会議や面談はダラダラ長くなりがちだ。事前の準備や相手のご機嫌うかがいは、ネットを使って済ませておこう。会う前に「今回は○○のために○○を討議し、次回までの分担まで決める」などと全員で確認しておく。ここまで準備できれば、意見を出し合って決めるのは、リアルの会議の方が断然速い。分担が決まった後の進捗確認だけなら、ネットが便利だ。

5.自宅や図書館をマイオフィス化

 会社で机にじっと座っていても、良いアイデアが出て仕事がはかどるとは限らない。昨今は、パソコンやタブレットと無線LANさえあれば、いつでもどこでも仕事ができる。むしろ自宅でテレビやラジオを流しながら、パソコンに向かう方が知恵がわく場合も多い。お気に入りの図書館やカフェなどは、居心地が良く集中できるはずだ。

6.夜の付き合いより濃密ランチ

 同僚や同類と愚痴をこぼして酔っぱらう夜ほど無駄な時間はない。年齢・性別・職業・国籍は異なるが、夢や志が近い人生の達人とソーシャルメディアで親しくなろう。そして、定期的に朝食やランチをご一緒しよう。これなら時間が限られている上、お酒も入らず濃密な話ができる。2人より3~4人で会う方が知的生産性が高い。互いのオフィス訪問を
交えてもよいだろう。

7.「第三の場」で創造

 これからの日本人に求められるのは、楽しく美しい生活文化を創造しながら、新しいニーズとシーズを開拓していくセンスだ。そのためには、自ら充実した人生を歩み、幅広い人間関係を育む必要がある。私も経営のかたわら、教育や観光地域づくりなどのNPOに関わっている。一見すると仕事と無関係な体験も、結局は本業のアイデアの源となる「楽しい仕事」なのだ。