我が家では、小中学生の息子たちが毎日ゲーム三昧で、放っておくと何時間でも続けている。勤務先の保護者からも同じような話をよく聞く。

 実は今、多くの子供たちがゲームやゲーム機に関するトラブルに巻き込まれている。大人はまず、どんなトラブルがあるのかを知り、子供たちをトラブルから守る必要がある。

オンラインゲームの危険性

 オンラインゲームとは、インターネットを利用して遊ぶゲームのこと。パソコン、スマートフォン、携帯電話、携帯ゲーム機などでゲームサーバーにアクセスしながらプレイする。昨今は、毎日のようにいろいろなSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のカードゲームがテレビCMで流れている。あれもオンラインゲームの一種だ。

 オンラインゲームのトラブルの多くは、大人が知らない間に子供がゲームのアイテムを購入し、その代金がクレジットカード会社から請求されるというもの。ゲームを始めるには無料だが、途中から有料のアイテムを購入しないと先に進めなかったり、ゲームの効率が悪かったりする仕組みになっている。しかも、子供も大人も、ゲーム全体が無料だと思い込み、有料アイテムについてもゲーム上の架空の通貨だと誤解してしまうところがある。

 3年ほど前にも、同様の問題で携帯電話での“釣りゲーム”が社会問題になった。それ以降、ゲーム会社は「無料」を強調せず、「一部のコンテンツは有料です」と表示するようになった。だが、スマートフォンの増加とともに、トラブルは減るどころか増えている。

 国民生活センターなどには2012年度、オンラインゲームに関する相談が2012年11月20日までに、3107件寄せられた。前年度は同時期までに1544件、通年でも3501件だったから、倍近いペースだ。掲載されている事例を見ると、大人の財布から子供が勝手にクレジットカードを抜き出してカード番号を入力した例や、親の了解の下に一度入力したカード番号を、引き続き番号入力なしで子供が利用できた例などがある。詳細は国民生活センターのWebサイトを見てほしい。

携帯ゲーム機はネット端末

 子供たちが一番使っているゲーム機が携帯ゲーム機だ。今の携帯ゲーム機は、単なる子供のおもちゃではない。無線LAN機能を搭載したインターネット端末なのだ。自宅の無線LANに接続しているだけでも心配だが、自宅の無線LANにつなげていなくても安心してはいけない。近くに住宅やビルがあれば、いくつもアクセスポイントが表示され、中にはセキュリティで保護されていないアクセスポイントもあり、簡単に接続できる場合がある。無線LANの“タダ乗り”自体は犯罪とはいえないようだが、望ましいことではない。

 インターネットに接続できれば、オンラインゲームは使いたい放題。しかも、ゲーム機は子供のものだと思っているから、大人が画面や設定を見ようとすることは少ない。

保護者への啓発を

 オンラインゲームの課金は、多くがクレジットカードを利用することになっているので、クレジットカードの管理はしっかりしておきたい。大人の財布から子供が勝手に抜き出して使っても、大人にはすぐに分からない。請求が来て初めて慌てることになる。

 また大人には、ゲーム機などの「ペアレンタルコントロール」機能を知ってもらいたい。ゲーム機のネット接続などに制限を設ける機能だ。ペアレンタルコントロールについては、筆者の知人である目白大学の原克彦教授が中心となって作成した「任天堂3DS・DSiネット安心手順書」が参考になる。PDFがWebで公開されているので参照してほしい。

 この手順書はニンテンドーDSについて説明しているが、ほかのゲーム機でも同様の設定ができるから、機器のマニュアルを確認しよう。手順書では、時間や料金、ネット利用などについて、家庭でのルールづくりも推奨している。単に制限をかけるだけでなく、なぜ制限が必要なのかを子供に理解させることも必要だからだ。