先だって、シリコンバレーのテクノロジー企業(それも新興企業がほとんど)のインテリアデザインを手がける会社へ話を聞きに行った。

 このデザイン会社、o+aは、フェイスブック、エバーノート、スクウェア、ペイパル、イェルプ、そしてAOLやマイクロソフトのシリコンバレーオフィスなど、そうそうたる数の企業のインテリアを手がけていて、いったいどんな風に仕事場をデザインするのかが知りたかったからだ。

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 ここでよく分かったのは、今や「みんなが集まる場所をデザインすることが核心」になっているということだ。

 みんなが集まる場所というのは、いろいろあるだろう。まっ先に思い浮かぶのが大小の会議室。そして、食堂。ひょっとすると、ちょっとした応接用ソファのスペースなどもあるだろうか。

 ところが、ここのデザイナーは、もっとたくさんのタイプの「みんなが集まる場所」をそろえているのである。例えば、タウンホール、ライブラリー、ワークショップ、スタジオ、シェルター、シンクタンク、リビリングルーム、ウォールームなど、である。

 タウンホールというのは、言わば総勢で集まれる場所。全社ミーティングができる空間で、食堂を兼用する場合が多い。なので、食堂はいかにも「食堂」然としているのではなく、広々とした気持ちのいい場所である必要がある。

 ライブラリーは、資料などがすぐに取り出せるような部屋。ワークショップは、作業するためのツールがまわりにそろっている場所だ。スタジオは、例えば立ったままのミーティングができるとか、ちょっとしたソファスペースなどがあって、即席で打ち合わせができるような場所。

 シェルターは、一人になって籠るような雰囲気のある場所、シンクタンクは、集中したブレーンストーミングができるような空間で、少人数で集まれるようなテーブルと椅子がある。リビングルームはもっとゆったりと座れる場所。でも、そばに黒板があって、リラックスした状態で話し合いができるようなところ。そして、ウォールームというのは、1週間とか1カ月とか、何かプロジェクトが進行しているその間中、チームが占領する部屋。壁にいろいろなスケッチやアイデアなどを貼付けることができるようになっていたりする。

 このほかに、もちろん個室とか、個々人の仕事スペースもあるのだけれど、いったいなぜこんなにたくさんの種類の「みんなが集まる場所」が必要なのか。