世の中は相変わらず就職難で、私が講師を務める明治大学商学部「ブログ起業論」の教え子たちも、厳しい就職戦線を戦っている。応募と面接を繰り返し、疲れきっている学生も多い。しかし、私が大学生なら、こんなに楽な就職活動(就活)はないと思う。なぜなら、ソーシャルメディアを使えば従来と全く異なる方法で、企業の経営者などとつながり、アピールできるからだ。

 しかも、経営者は誰もが“最近の若い者”を嘆いている。「3カ月で辞めてしまう」「会社や商品に愛情がない」「コミュニケーションが下手」「叱咤(しった)激励にもろく打たれ弱い」など、学生の弱点にはパターンがある。

 これらはいずれも、ソーシャルメディアで「私は違う」と宣言できるものばかりだ。今回は、そんな就職活動の新手法を紹介しよう。

1.FacebookやTwitterが履歴書

 経営者や人事担当の友人に聞くと、昨今の学生は「誰もが同じに見える」という。だとしたら、書式の決まった履歴書と面接に頼らず、“ライブ感覚あふれる履歴書”としてソーシャルメディアを活用しよう。大学で学んだことはもちろん、NPO活動や個人的な趣味など、多彩で根気強い自分を、日々の書き込みでアピールしよう。

2.志望企業の商品応援サイト

 憧れの企業があるなら、その会社が今一番売りたい新商品・サービスの応援サイトやファンページを作ろう。言うならば“勝手に広告代理店”を始めるのである。会社が作ったWebサイトや広告よりもっと熱く語るには、「経営理念=会社の崇高な使命」「沿革=会社の輝かしい歴史」「人=経営者や人材の素晴らしさ」についても自分で調べて紹介するとよい。

3.お客様視点でレビュー

 企業は、商品やサービスに対するお客様のホットな感想と、それを友達に薦めてくれるレビュー記事を熱望している。だとしたら、就職志望者の中で、誰よりもその商品を愛して、“ネットコミ”を熱く発信する人になればよい。経営者もマーケティング担当者も、ネットで自社商品に愛を込めて語るカリスマ生活者に注目している。そんな心あるお客様視点を持った新入社員を熱望するはずだ。

4.志望企業のイベントに参加

 近年は、ネットで発信力のあるお客様を集めた新商品発表会、サービス体験会などのイベント企画も多い。志望企業や商品のホームページなどを常にチェックして、積極的に参加しよう。参加条件で、必ずブログやFacebookなどをチェックされるので、マーケティング担当者が注目してくれる絶好のチャンスにもなる。会場では、もちろん社員と名刺交換して仲良くなろう。

5.ファンとコミュニティで結束

 企業イベントや、ネットでの交流で、志望企業のファン仲間と仲良くなろう。就職前なら、同じファンの立場で交流できる。先進的で愛情あふれるお客様のリーダー層と仲良しになれば、就職活動の際に強力な財産になる。自分自身のネット友達も大切だが、いざという時に、ファン仲間のネットコミと自然につながれる交遊関係が重要だ。

6.サイトやメルマガにコメント

 こうして、自分のファンサイトが充実し、ファン仲間も増えてきたら、企業の公式サイトやメルマガにも、思い切ってコメントや返信をしよう。企業に代わって商品をPRするような心の込もったコメントを書き続ければ、就職前から注目されるはず。逆に、ファンの目から見て不都合な点があれば投書でそっと進言しよう。愛ある提言が経営幹部にも届くことになる。

7.SNSで経営者と友達に

 驚くことに、最近は上場企業の経営者もFacebookを始めている。「御社の商品が大好きでファンサイトを運営し、愛情あふれる記事を書いています」と記事リンク付きメッセージを添えて、思い切って友達申請しよう。同時に就職して実現したい夢を堂々と語ってみよう。私なら友達承認のみならず、愛ある記事やコメントを見て、心が通えば、すぐに採用するだろう。