今年は衝撃的な出来事がたくさん起きた。アップルは稀有のビジョナリーを失い、その遺志を受け継ぎ、それを発展させて行くという新しいフェーズに入った。故スティーブ・ジョブズが思い描いた創造のスケッチがどう完成されて行くか、ユーザーのみならず世界中が注目する存在になった。なかでもコンセプトの全貌を示したまま、世を去ることとなったiCloudはこれから詳細を描き込む段階だ。スティーブが「やるぞ」と宣言したサービスの中には従来のコンテンツ流通の枠組みから大きくはみ出すモデルも含まれていて、特に日本では実現の望みがほとんどないものもある。
思わせぶりなアップデート
12月16日、iTunesのアップデート配信が始まった。iTunes 10.5.2。インストールを促すメッセージの詳細を読んでみると、すごいことが書いてあった(図1)。
・iTunes Match。 CD から読み込んだ音楽を含め、ミュージックライブラリ全体を iCloud に保存して、iPhone、iPad、iPod touch、コンピュータ、または Apple TV でどこにいても好きなときにコレクションを楽しむことができます。
・iTunes in the Cloud。iTunes で購入した音楽およびテレビ番組は、iCloud に保存されるため、お使いのデバイスで、いつでも、どこでも、楽しむことができます。しかも無料です。
・自動ダウンロード。デバイスやコンピュータから音楽を購入すると、その音楽のコピーがお使いの Mac、PC、および iOS デバイスに自動的にダウンロードされます。
・以前に購入した項目をダウンロード。過去に購入した音楽、テレビ番組、App、およびブックを無料で再度ダウンロードできます。以前に購入した項目が iTunes Store にない場合は、ダウンロードできない可能性があります。
つ、ついに、日本でも、昔CDからため込んだ楽曲をアップルのiTunesサイトから自動再ダウンロードでき、iTunes Storeで過去に購入した音楽、ビデオ、テレビ番組が無料で再ダウンロードできる! 「おお、これぞ、スティーブが病を押して自ら登壇し、発表したiTunes in the CloudとiTunes Matchだ!!」と喜び勇んでダウンロードしたものの、iTunesの設定メニューに変化は表れなかった。う~~む、残念(図2)。