10月25日、警察庁は、「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達を出し、「自転車は原則として車道を通行する」ということを徹底する方針を打ち出した。

 この連載では2009年に自転車をテーマにした一連の記事を掲載した。そこでは、(1)自転車は軽車両という車両であること、(2)自転車の歩道走行は交通事故増加への対策として1978年の道路交通法改正で緊急避難的に認められたが、その後抜本的な対策なしにずるずると30年以上が過ぎてしまったこと、(3)その結果「自転車は歩道を走れる歩行者の同類」という誤った認識が一般に定着してしまったこと、(4)ママチャリという歩道走行に適応した世界にも類を見ない日本固有の車種が普及してしまったこと、(5)1990年代から始まった低品質の激安自転車の販売が人々の間に「自転車は歩道を走って近所に行く程度の乗り物」という誤った認識を作り上げてしまったこと――などを指摘した。
 詳しくは、格安自転車を使うことで失われる3つの感覚(2009年2月23日)から独断で語る賢い自転車の買い方(2009年8月17日)までのバックナンバーを参照してほしい。
 これらは加筆修正の上、「格安自転車を使うことで失われる3つの感覚~自転車2.0への提言」(iPhone/iPad版およびPC/Android版)という電子ブック(600円)にもなっているので、そちらも読んでいただけると幸いである。この電子ブックには無料の立ち読み版(iPhone/iPad版およびPC/Android版)もある。

 自分の宣伝はともかくとして、今回の警察庁の通達は1978年以降、世界的に見ても異常だった公共交通の中における自転車の位置付けを、きちんと筋を通したものに戻していこうという動きとして評価できる。