震災を機にパブリッククラウドや仮想サーバーが注目を浴びています。私は数年前から海外の仮想サーバーを使用していて、昨年からは国内の仮想サーバーもいくつか使っています。

 仮想サーバーを選ぶ際には、その用途によって様々な選択肢があります。

 例えば、個人情報を扱う場合には、ISMSを取得している国内のデータセンターを選ぶこともあるでしょう。あるいは、法人の顧客のデータを取り扱うときには、国内で大手企業のデータセンターという点を第一の条件にすることもあるでしょう。一方で、新しい技術なので技術力や実績を重視することもあるでしょう。安価なサーバーがよいということであれば、構成の選択肢は少ないものの、今では月額で1000円を切るものも出てきました。

 そうした中、関東圏に設置されていないデータセンターであることを条件にすることも現実的となっています。

 私の使っているある仮想サーバーは、大手上場企業の運営している国内のデータセンターで運用されていて、物理的にホットスタンバイ型の冗長構成が採られています。データセンターの場所は秘密とされていて、関東のどこにあるのか分かりませんが、関東圏にデータセンターがあります。

 自分の仮想サーバーのあるデータセンターが計画停電の対象地域にあるのかを知らせてもらえません。また、計画停電が始まった当初は「十分な燃料があるために停電することはありません」と書かれていたホームページも、その後「燃料が確保できなければ停電します」と書き直されています。

 仮想サーバーであれば、本来、別のデータセンターにイメージデータを移動するなどの運用も考えられなくないですが、今のデータセンターではその運用ができないために、停電が起きたら、燃料が尽きた段階で停止する恐れがあるのです。

 それは困るので問い合せてみると、停電になりそうなときに事前に知らせることはなく、「詳しくはWebで見てください」との返答でした。こちにとっては重要なサーバーなので停止の前には知らせて欲しいのですが、「当社のサポート対応時間は10~17時のメールサポートのみで3日以内にお返事いたします」とのことで、「なるようにしかならない」状況です。

 また、サポートメールで「節電対策の具体的な内容を教えてください」と問い合わせましたが、「現在万全の対策を講じながら節電に協力する予定ですが、詳細は申し上げられません」とのこと。データセンターではサーバー冷却などのために膨大な電力を消費しているわけですから、節電対策といえば当然、エアコンの設定温度を少し上げる、風通しを良くするなどが考えられます。これらの対策は、物理サーバーに対して多少なりとも負担をかけることは間違いないと思われますので、障害の発生率は今よりも上がることになると考えられます。

 これがクラウドというものかと改めて考えさせられました。大規模停電が起こらないと限りませんので、関東圏に仮想サーバーを借りている方は不安だと思います。ここは踏ん張りどころですので、国産クラウド事業者は、顧客の不安に対するケアも含めて、対応に当たっていただきたいと思います。