■0311text
編集:米光一成
発行:こどものもうそう
価格:無料
URL:http://blog.lv99.com/?eid=1081543

 この連載ではiPadで読むといいよ、というコンテンツを紹介している。
 コンテンツという言葉には、受け身のイメージがある。
 既にある何かを受け取るという構造上、それは仕方ないと思っていたが、今回紹介する「0311text Project」はちょっと違う。
 具体的なコンテンツとして存在するが、それ以前に誰でも実行可能なコンセプトなのだ。
 提唱者の米光一成さんは、こう書いた。

00311text
毎月11日の出来事を観察日記のように書く試みです。
3月11日の震災をスタートとして、1年間続けたいと考えています。
原稿を集めて、電子テキスト化/電書化しようと思います。
(販売ではなくて、無料公開です)
フォーマットは以下の通り。

【フォーマット】
■1行目
日付:名前:場所:性別年齢
■本文
その日のことを観察的に記す。
文字数:300字以内

*算用数字は、すべて半角で(例:3月11日)

【サンプル】
2011年3月11日:米光一成:東京豊島区:男46歳
自宅。揺れが激しいのでドアを開けた。
揺れがおさまらない。
「外へ出よう」
慌ててないつもりだったが、iPhoneを置いてきたし、上着も羽織ってなかった。寒い。
揺れがおさまり部屋にもどる。
爪切りが落ちてPCの上に爪が散乱。
本が崩れてた。目薬が見つからない。
また揺れる。
近所の避難場所に(行ってみるか)行ってみる。
人がたくさんいる。
運動場、300人以上はいた。

協力してくれる人は
yonemitsuk@gmail.com
まで
メールで送ってください。
質問意見感想も歓迎です。

 0311textは、とても小さな個人の声の集合体である。40人近い人たちが、自分の目で見た震災の日を語っている。
 東日本大震災の被災者は、直接的には地震の被害を受けた人、津波で被害を受けた人、原発の事故で避難を余儀なくされた人だ。
 1カ月が経過した現在、まだ被害の全容は分からず、原発事故も収束しておらず、風評被害と経済活動の遅滞で、影響は拡大し続けている。今後の展開をにらめば、被害者は日本人全員といってもおかしくない。
 そんな状況で、報道は過熱する一方だ。ネット上には震災情報と原発情報があふれ、読んでいるだけでぐったりする。震災後、一時期とはいえ、テレビから大河ドラマも、バラエティも、広告も、ふだん見慣れた何もかもが一斉に消えてしまった事実は忘れない方がいい。
 そんな息苦しい状態が続く中で、0311textは始まった。
 これまでも同じことを不特定多数の人が日記の形で記述するプロジェクトはたくさんあった。日記とネットはとても親和性が高い。
 が、「0311text Project」には「これは新しい」と思わせる何かがあった。

0311textは米光一成さんのブログ「<a href=こどものもうそう」で公開中。0311textはPDFやEPUB形式でも配布されている。iPadで読む場合はEPUBを推奨。">
0311textは米光一成さんのブログ「こどものもうそう」で公開中。0311textはPDFやEPUB形式でも配布されている。iPadで読む場合はEPUBを推奨。
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