今回は、あるデータセンターで起きた事件をご紹介します。

 A社はあるデータセンターにラックを借りてサーバーを20台ほど運用していました。社内からVPN(virtual private network)で接続して使う形態にしていて、特に大きな障害もなく運用を続けていました。

 A社はデータセンターの選択に当たっては、電源やネットワークの冗長構成、入退室チェックが厳重かどうかなどをチェックしていました。もちろん入退室のチェックは厳重で、事前申請が必要というデータセンターでは一般的なものでした。

 監視カメラについても事前確認を行っていました。入館するところと入室するドア近辺には監視カメラが設置されていました。

 さて、ある朝、会社の始業時間となり社員が掲示板やスケジュールなどを使い始めました。ところがだれもアクセスすることができなくなっていました。システム部にはクレームの電話が鳴り響き、担当者は朝から対応に追われることになりました。

 サーバーはデータセンターにあるので、まずは遠隔で確認を行いました。ところがどのサーバーにも全くアクセスできないのです。

 一部のサーバーの障害であればサーバーを疑って障害対応を行うところですが、これまで何も問題のなかったサーバーに一斉にアクセスできないので、担当者はネットワーク障害を疑いました。例えば、ルーターやスイッチ、通信ケーブルの障害である可能性です。

 担当者が確認したところ、VPNで通信ができているので、A社からデータセンターまでの回線障害ではなさそうです。また、遠隔でデータセンター内に設置してあるスイッチなどのネットワーク機器をチェックしましたが、どうやら障害は発生していないように見えます。