2010年11月初め、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突ビデオが「YouTube」に流出した事件はご記憶でしょう。その後、神戸海上保安部の主任航海士が投稿を告白し、さらに同じ内容のビデオが各会派や報道各社に正式に公開されたことで、事件は一段落。話題になることも少なくなりました。ネットを通じた流出事件としては、内部告発サイト「Wikileaks」(ウィキリークス)にすっかり注目が移ってしまったようです。

 そのため「今さら」という感じもするのですが、衝突ビデオの流出に関して、テレビや新聞がほとんど触れていなかった「著作権」という側面が気になりました。YouTubeといえば、違法にアップロードされた映像が問題になることもあります。2010年1月に施行された改正著作権法では、違法にアップロードされた映像と知りながらそれをダウンロードすることも「違法」とされました。

 衝突ビデオが適正な手順を踏んで公開されたものでないとすれば、その映像をダウンロードしてパソコンに保存したり、ネット上に転載したりしたユーザーは、著作権を侵害したことになるのでしょうか。そして元をたどれば、同ビデオをYouTubeに公開した主任航海士もまた、ビデオの著作権を侵害して違法にアップロードしていることになり、その罪を問われる可能性があるのではないでしょうか。

 この疑問を解消すべく、「日経パソコン」の2010年12月27日号のコラム「焦点」では、西村あさひ法律事務所の山口勝之弁護士に、衝突ビデオの著作権問題を解説していただいています。詳細は本誌をご覧いただくとして、ここではそのエッセンスを紹介しましょう。

みんなの党チャンネルで公開されている問題の衝突ビデオ
みんなの党チャンネルで公開されている問題の衝突ビデオ
[画像のクリックで拡大表示]