漏えいした国家の機密情報を掲載することで有名なWikiLeaksの創設者が逮捕されました。この事件をめぐって新たなインターネットの脅威が浮かび上がってきています。

 創設者のアサンジ氏の釈放を要求するハッカーたちが現れたのです。WikiLeaks側は関与を否定していますが、ハッカーたちの行動は大きな影響を与えています。

 ターゲットになっているのはWikiLeaksと取引をしていた銀行やカード会社、決済代行会社、仮想サーバーの提供会社など、最近になってWikiLeaksとの取引を中止した企業です。これらの企業をターゲットにしたDDoS攻撃が行われていて、実際にこれらの企業のさサイトが一時的にアクセスできなくなったりしています。

 これだけであれば、これまでもあったDDoS攻撃と変わりがないのですが、大きな違いは自主的に「ボット」になった参加者によって行われているということです。

 ボットとはウイルスの一種で、攻撃者の指令によって感染したパソコンが悪用され、パソコン利用者の知らないうちに、自分のパソコンがDDos攻撃をしかけたり迷惑メールの配信元になったりします。パソコン利用者がDDoS攻撃に加担しているとは知らずに攻撃に使われていたのです。

 ところが今回はDDoS攻撃を行う攻撃ツールをハッカーグループが配布して、アサンジ氏の釈放に賛同する者を募って攻撃を仕掛けているのです。この攻撃ツールは容易に簡単に使用することができます。攻撃相手のIPアドレスを入力してボタンを押すだけです。

 こういった攻撃ツールは昔からあり珍しくないのですが、今回配布されているツールにはチャット機能があるのです。このチャット機能を通じてどこを攻撃するか話し合うことができ、ターゲットを申し合わせて一斉に攻撃することもできます。また、チャットに参加することで、自分がハッカーグループの一員になったような気分にさせてモチベーションを高めることもできるのです。さらに、ハッカーグループに自分のパソコンを自由に操作させることを認めさせる機能もあります。