「パーツを交換して性能向上」。パワーアップはPCを使う上での楽しみの一つ。だが、期待にそぐわない投資となることも多々ある。

 自宅で主に使っているパソコンは、2年半前に買ったレノボ製ノートPC「ThinkPad X61」(TYPE 7675-A36)。CPUはCore 2 Duo T7500(2.2GHz)、メモリーは2GB、OSはWindows XPと昨今の機種と比べればやや見劣りするものの、まだまだ十分な性能。1024×768ドットの12.1型液晶ディスプレイに多少狭さを感じながらも、ネットサーフィンやオフィスソフトを使う分には性能不足を感じることはほとんどない。

 数少ない不満点はハードディスクのアクセス速度、それも使い始めるときに限られる。上記の使い方のほか、ニュースサイトの閲覧や電子辞書代わりにしたり、出かける前に地図を表示させたりと、ちょこっと起動して数分操作することが多いので、使い終わったときは電源を切らずに液晶ディスプレイを閉じると休止状態となるように設定してある。それでも、ディスプレイを開き復帰して操作できるようになるまで少々待たされるのが気になっていた。

 そこでHDDからSSDへの交換を決意。SSDは、コストパフォーマンスに優れた「Crucial RealSSD C300」(64GB、Micron Technology)を購入。環境移行ソフトを使い、OSやアプリケーションをコピー。どれだけ速くなるのだろうと、期待しながらOSを起動して操作したが、それほどの速度向上が感じられなかった。

 一番の狙いは、休止状態からの素早い復帰。続けてこの動作を測定したが、HDDのときの30秒からSSDに替えて25秒と、17%ほどの時間短縮。体感として、この差は分かりづらい。せっかく大枚をはたいたのに、この程度とは……。気落ちしながら測定したベンチマークテストの結果は、以下の通り。

「CrystalDiskMark 3.0」で測定したHDD「HTS542516K9SA0」(160GB、日立グローバルストレージテクノロジーズ)の結果。
「CrystalDiskMark 3.0」で測定したHDD「HTS542516K9SA0」(160GB、日立グローバルストレージテクノロジーズ)の結果。
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同じく「Crucial RealSSD C300」(64GB、Micron Technology)の結果。
同じく「Crucial RealSSD C300」(64GB、Micron Technology)の結果。
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 ベンチマークだと、シーケンシャル読み出しで約3倍、512KBのランダムアクセスで約7倍の速度向上が見られた。だが、復帰時間短縮とのかい離が大きい。何度か休止と復帰を繰り返して気がついたのは、ディスクのアクセスはそれなりに速くなっているが、そのほかの動作が多いことだ。

 Windowsの休止状態からの復帰は大きく3段階に分けられる。まず、液晶ディスプレイを開け電源が入ってHDDのアクセスが始まるまで。ここが約11秒でHDD、SSDとも変わらない。次にファイルを読み出す時間。HDDで14秒、SSDだと8秒。最後に、ファイルの読み出しが終わってからWindowsのデスクトップが表示されるまではHDD、SSDいずれの場合も5秒ほどかかっていた。2番目のファイル読み出しに限れば、43%ほど短縮しており、それなりに速くなっているのが確認できた。

 結局、SSD交換のメリットは「速度向上だけでなく、耐衝撃性も高まること」と、自分を納得させた。だが、これを機会にノートPCの買い替えを画策中。

 日経WinPC 2011年1月号(2010年11月29日発売)の特集「失敗談に学ぶ自作のツボ」では、読者の貴重な体験談からPC自作のノウハウをまとめました。「パーツのバランスが悪い、と友人に笑われた」「安売りパーツを買ったら、すぐに新製品が出て後悔」「ねじの頭をなめて、拡張ボードが外せなくなった」「ドライブを間違えて、データ用HDDにOSを上書きした」など。ぜひ、こちらもお読みいただき、無駄な買い物を避けたり、PCのトラブルに巻き込まれたりしないようにしてください。