「またか」と、うんざりするような話が飛び込んできた。今年3月、緊急!東京都が児童ポルノ規制の美名の下、思想統制への道を開こうとしているで、東京都が、青少年保護の美名の下に、権力が市民を恣意的に支配する根拠を与える条例案を都議会に提出しているという話を書いた。この条例案「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正案――通称「非実在青年」都条例案――は、6月に都議会における反対多数で否決され、都はさらなる改正案の提出を目指していた。

 この11月、都は再度改正案を都議会に提出した。文言はいくらか変化しており、前回物笑いの種となった、「非実在青少年」という用語は削除された。しかし、条例案そのものが持つ、思想統制の危険性は相変わらず残っている。すでに、日本雑誌協会、日本書籍出版協会などで構成する出版倫理協議会(pdfファイル)東京弁護士会日本ペンクラブなどが、新しい条例案に反対の姿勢を明確にしている。

 都は、こんな問題にいつまで拘泥しているつもりなのだろうか。児童保護というならば、憲法違反となる表現物の規制を考えるよりも、今現在、現実の虐待の最中にある児童を実効的に救う手立てを考え、実行するべきだろう。