前回から、ホメオパシーを巡る情勢は大きく変化した。8月24日、日本学術会議は、金澤一郎会長による「ホメオパシー」についての会長談話(pdfファイル)を発表した。ホメオパシーに科学的根拠がないことを解説し、その効果はプラシーボ(偽薬)でしかないことを明記している。その上で、「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。」と、治療目的での利用を戒める内容となっている。

 この会長談話を、日本学術会議では半年ほど以前から準備していたそうだ。事前準備があったためだろう。会長談話に合わせて、日本医師会と日本医学会(共同声明:pdfファイル)、日本薬理学会(賛同コメント)、日本薬学会(賛同コメント)、日本薬剤師会(賛同コメント:pdfファイル)、日本獣医師会と日本獣医学会(賛同コメント:pdfファイル)、日本歯科医師会と日本歯科医学会(賛同コメント;pdfファイル)、日本助産師会(賛同コメント:pdfファイル)――医学関連の団体、学会が軒並み日本学術会議の会長談話に賛同する姿勢を明確に示した。

 つまり日本の医学関係者がまとまって「ホメオパシーは医療ではない」と、ノーを突きつけたのである。

 当然のことながら、ホメオパシー関係者も日本学術会議の会長談話に対して、反論のコメントを出している。日本ホメオパシー医学協会の反論日本ホメオパシー医学会の見解などだ。

 ひとたび社会問題化すると次々にニュースが出てくるもので、朝日新聞によれば、沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が、ホメオパシーに使う「レメディ(実態は砂糖玉)」を日常的に生徒に渡していたことが判明した(記事)。報道によれば、教諭は、学校に砂糖玉をレメディーに変換するという装置を持ち込んでいた。

 また、9月8日には、東京都がレメディを販売していたホメオパシージャパンに対して薬事法違反容疑で立ち入り検査を行っていたことが明らかになった。