今日はJailBreak、脱獄の話をしよう。のっけから物騒な単語を並べて恐縮だが、ここで言っているのは「承認したアプリケーションしか入れられないよう、がっちりプロテクトしたOSに細工をして、独自アプリなどを入れられるようにすること」を指す。米国で2000年10月に施行されたデジタルミレニアム著作権法(DMCA:Digital Millennium Copyright Act)はこうした行為を禁じており、アップルやその他の携帯電話会社はJailBreakは違法行為だと訴えてきていた。ところが、米著作権局が2010年7月26日に発表したDMCAの見直しによると、iPhoneのプロテクトを解除するJailBreakやSIMロックを無効化する行為は同法の適用外とすることとなった。これで脱獄は、合法。いや、それどころか「脱獄」と呼ぶ必要もなくなる。堂々と、「使いこなしのノウハウ」の一種となったわけだ。
なぜJailBreakが必要か?
現在、iPhoneやiPadにアプリケーションを導入するには、iTunesを使ってApp Storeからアプリをダウンロードした後、流し込むという作業をしなければならない。
しかし、そのソフト、そもそもアップルが自社で設定した厳しい制限をクリアされなければApp Storeに登録されない。同社が課す規制はたくさんあるが、例えば、通話の録音機能や自動発信させる機能、あるいはパソコン側から直接音楽ファイルの整理をしたり、iPhone自体の設定を変更したりするプログラムは規制の対象となっている。また、アドビシステムズのFlashビデオ再生機能や、Adobe AIRなど独自アプリケーションを構築する環境を追加することも規制対象になる。
そうなれば、ユーザーが欲しいさまざまな機能が実現できなくなる。そこで、iTunes 経由で純正アプリをインストールするしかないバリアを破り、自由に作ったアプリケーションをインストールできる環境が欲しくなるというわけだ。閉じ込められた塀を破って自由を得る、という意味で「JailBreak」という乱暴な方法が生れてきたというわけだ(図1)。
しかし、これで恩恵を被るユーザーは数多い。