前回、個人がどんどん手持ちの本を切り裂いてスキャンし、電子化しつつある現状を紹介した。個人が本をスキャンするようになり、より部屋が広く使えるようになるのはいいが、デメリットは存在しないのだろうか。

 もちろん良いことの裏に悪いことがある。個人によるスキャンにもデメリットは存在し、それは電子書籍全般の巨大なデメリットにつながっている。「パソコンでしか本が読めなくなる」などというのは些細な欠点だ。そんなものはKindleやiPadのような端末の進歩でいずれ解決することが約束されている。

 一番のデメリットは、「なにかのトラブルで瞬時に蔵書のすべてを失う可能性がある」ということだ。記憶媒体の故障で過去のデータをすべて失ったことのある人は少なくないだろう。これが「蔵書のすべて」となるとかなり厳しいことになる。

 いや、昨今は蔵書のみならず、すべてのCDやデジタル写真、動画、書いた文章、送受信したメールログなどをまとめてパソコンで管理している人も少なくない。これらデータがまとめて失われたら、個人的には記憶喪失になるぐらいの大きなダメージとなる。

 だから、バックアップが大切だということになり、今や個人用のバックアップソフトから、ネット上のクラウドのストレージに至るまで様々なバックアップ手段が用意されている。

 個人としてはそれらを活用するだけで十分だ。しかし社会全体、いや人類全体としてはどうだろうか。