ドキュメントスキャナーという商品がある。多数の紙の書類をまとめて一気にスキャンし、JPEGの画像ファイルなりPDFファイルなりに吐き出すという機能を持つスキャナーだ。さて、よろしければAmazonのページでドキュメントスキャナーを見てもらいたい。「FUJITSU ScanSnap S1500」でも、「Canon imageFORMULA DR-2510C」でも、Amazonは「よく一緒に購入されている商品 」として、大量の紙を一気に裁断する裁断機を薦めてくる。つまりドキュメントスキャナーを購入する人は、同時に裁断機も買っているわけだ。いったい何のために?

 言うまでもない。ドキュメントスキャナーと裁断機をまとめて購入する人は、手持ちの本を裁断してスキャンし、お手製の電子書籍にしているのである。裁断した本は、もう使えないから資源ゴミ行き。手元には電子データが残るのみである。ドキュメントスキャナーと裁断機がまとめてよく売れているということは、すでに相当数の人が手持ちの本を裁断してスキャンしていることを意味する。

 iPadやKindleがどうこうとか、ファイルフォーマットがああだこうだとか、日本電子書籍出版社協会が何を考えているかとかとは全く無関係に、すでにユーザーが主導する形で、電子書籍への動きは始まっているのである。