1月27日、アップルの新端末「iPad」が発表された。iPhone OSで動くことといい、9.7型のディスプレイを備えることといい、上位モデルが携帯電話網を使った通信機能を備えることといい、ほぼ事前に流通していた予想通りのスペックだ。

 電子ブックに関しては、ファイルフォーマットとして国際標準規格の一つである「ePub」を採用している。ePubはテキストデータで記述できるマークアップ言語。ホームページの記述などに使われており、国際的に仕様が完全に公開されているXHTMLというマークアップ言語に準じた仕様だ。つまり、ePubファイルは最低限、テキストエディターとZIP圧縮を行うソフトがあれば作成できる。

 書籍データの販売にあたって、アップルはiPadに「iBook」というソフトウエアを搭載し、同時にネット上で電子ブックを販売する「iBookstore」を開設する。パソコンやiPhoneに搭載したソフト「iTunes」経由でiTunes Storeから楽曲やムービーのデータを買うのと同じようにして電子書籍データが買えるわけだ。

 これもまた予想通りだ。アップルは電子データについて、「なるべくオープンなフォーマットで提供する」という姿勢で一環しており、実際その方針で成功を収めてきた。

 そこにあったのは、理念としての公正さの追求だったのではないだろうか、というのが今回の話である。