今のところ多くの中国人は、製品の付加価値に関して興味を持っていない。数字で表現できる基本スペックには敏感だが、「付け加えられた価値」にはメディアもレビュー記事で積極的に紹介しようとはしない。PCで言えば、CPUやメモリーやHDDのスペックには興味があるが、キーボードやマウスやディスプレイといった人間との接点となるヒューマンインタフェースには、多くの中国PCユーザーは興味を抱いていない。強いて言えばオンラインゲーム人気から、一部のヘビーゲーマーがゲーム用のマウスやキーボードに注目している程度である。ディスプレイもまた、細かなスペックはさておき、CRTかLCDか、サイズは何インチだ、ということくらいしか、多くのPCユーザーは気にしていない。

 中国の電脳街を見てみれば、各ショップはレノボやソニーなどのPC本体メーカーや、CPUをはじめとしたPCパーツメーカーの代理店となっており、ディスプレイ専門ショップもまた、それぞれの店が特定のメーカーの代理店となっている。そのディスプレイの代理店では、ディスプレイがセットになったショップブランドPCの販売がメインとなっていて、店の脇を通ると「PC買いたいの?」と、本業を忘れてはいまいかとツッコミたくなるような声をかけてくる。逆に言えば、ディスプレイ単品で買い換えるPCユーザーは少数派で、PCとセットで買う人が大半だ。ディスプレイショップでショップブランドPCを購入するような人は、マザーボードでもCPUでもなく、気になるディスプレイを中心にPCをそろえようとする人である。

電脳街ではディスプレイを扱う自作ショップが多い。
電脳街ではディスプレイを扱う自作ショップが多い。
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ディスプレイ専門店が並ぶ電脳ビル内。各ショップともショップブランドPCも扱っている。
ディスプレイ専門店が並ぶ電脳ビル内。各ショップともショップブランドPCも扱っている。
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