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松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」

電子書籍についての考察(その1)10年前の電子書籍コンソーシアム実験を振り返る

松浦 晋也=ノンフィクション作家 2010/01/18 PC Online


 どうやら、やっとやって来そうだ――電子ブックである。アマゾンのKindleが日本でも買えるようになったし、この春にアップルがタブレット型の新デバイスを出すといううわさはすでに確定事項に近いものとなっている。
 過去10年間、電子ブックは「ブームが来る、来る」と言われて結局今日まで狼少年でしかなかった。しかし、今度こそ本当に紙からの移行が起きそうな雰囲気になっている。

 私はこの10年間、電子ブックに興味を持ち、折に触れて取材してきた。私の仕事部屋には紙があふれている。大量の資料本とコピーした資料類、そして個人的な興味で買い集めた本だ。これら本棚を埋め尽くす本がすべて電子化され、片手で持てる電子ブックに収まるならば、それは大変素晴らしいことではないか、そう思い続けてきた。なによりも部屋が広く使える。
 以下、この10年間に自分が何を見て何を考えていたかを、ぼつぼつとまとめていくことにしよう。

 自分が電子ブックなるものを本格的に考え出したのは、1998年10月に電子書籍コンソーシアムの発足記者会見に出席したことがきっかけだった。
 電子書籍コンソーシアムは、小学館、講談社、文藝春秋、インプレス、角川書店など大手出版社が中心になって立ち上げた電子ブックの社会実験を行うための組織だった。通商産業省(現経済産業省)からの補助金を受けて、電子ブックのハード、ソフト、そしてソフトを販売する店舗向け端末を開発。一般から募集したテスターに電子ブックのハードウエアを配布して、その可能性を検証しようとしたのだった。実験は1999年11月から2000年1月まで、約3カ月間行われた。実験参加者の内訳は独自の電子ブックリーダーのテスター500名に、パソコン上での閲覧ソフトによる参加者1500名である。実験に合わせて、最終的に5000点の電子書籍が用意された。

 だが、この実験はさんざんな悪評と共に終了した。試しに「電子書籍コンソーシアム」と検索してもらいたい。ネットの各所に実験参加者が書き残した不満と怒りが、今も残っている。当時コンソーシアムに参加していた小林龍生氏が、当時の雰囲気を感じさせる文章をいくつか公表しているのでリンクしておく。

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